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インフルエンザ騒動の中、尼崎から世界禁煙デーに思う
長尾和宏(長尾クリニック院長)

2009/06/03

ながお かずひろ氏○1984年東京医大医学部卒業。市立芦屋病院などを経て1995年兵庫県尼崎市に長尾クリニックを開院、現在に至る。

 兵庫・大阪のインフルエンザ騒動は収束動向にあるようだが、5月31日の世界禁煙デーを迎える三宮の街はいつもに比べて明らかに静かだ。6月6日に予定されていた兵庫県喫煙問題研究会主催の県民フォーラム「メタボより大切なタバコ対策」や恒例の禁煙行進などの行事は残念ながらすべて中止となった。これも風評被害と言える。そんな中で迎えることになった世界禁煙デイへの思いを述べる。

【喫煙者のインフルエンザリスクは2.4倍高い】

 5月25日、NPO法人日本禁煙学会(理事長作田学氏)は麻生太郎総理、舛添要一厚労大臣、関英一 厚生労働省健康局生活習慣病対策室長らに当てた緊急声明を提出した。

 その要旨は

1.インフルエンザの重篤化・死亡リスク対策として「タバコ対策=禁煙推進」が重要です
2.来るべき新型インフルエンザ・パンデミックに備えて国民に禁煙を促してください

である。

 「私たち日本禁煙学会は、タバコの流行をなくすことが、インフルエンザ・パンデミックの制圧にも大きく資することを強調したい。インフルエンザと喫煙の関係でいえば、喫煙者は非喫煙者の2.42倍インフルエンザに罹患しやすく、罹患すると重症になることが確かめられている。

 また、インフルエンザの死亡のリスク要因は動脈硬化を主とする心血管系疾患、糖尿病、呼吸器系疾患などであり、かつ喫煙及び受動喫煙は、これら疾患の予防可能なリスク要因である。

 従って、インフルエンザの死亡リスクを減らすためには生活習慣病対策、とりわけ禁煙推進が最も重要な対策のひとつである。すなわちタバコ規制は、新型インフルエンザ対策としても非常に有効である。

 インフルエンザのみならず、呼吸器感染症全般(上気道炎、肺炎、結核、季節性インフルエンザを含む)の罹患・重症化の予防の基本が禁煙と受動喫煙対策であることはいうまでもない。

 我々は日本政府・厚生労働省が、タバコのリスクを正当に評価し、FCTCに述べられているように「タバコの消費及びタバコの煙にさらされることが健康、社会、経済及び環境に及ぼす破壊的な影響」から人々を保護するために有効なタバコ対策を実施すると共に国民に禁煙を呼びかけられるよう要望する。」

 インフルエンザ騒動と喫煙問題は決して無関係ではない。咳を主訴に受診してインフルエンザの簡易検査を希望する患者がこの10日間で急増した。喫煙者が半数以上を占めており、大半がタバコに関連した咳なのだが、時期が時期だけに患者さんも神経質になっている。必要でないと判断される患者さんでも、職場から簡易検査を強制されたと言って来院する。タバコとインフルエンザは無関係どころか、密接に関係しており、日本禁煙学会の提言は大変時宜を得た行動だと思う。

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