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院内医療事故調査委員会の問題点
伊藤英一(新潟県立新発田病院循環器内科)

2009/03/26

いとう えいいち氏○1986年自治医大医学部卒業。1997年より現職、現在に至る。

 厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」が2007年に開始されてから多くの議論がなされ、収束する様子には見えない。

 この検討会の議論と平行して、個別の医療機関の院内医療事故調査委員会の役割や位置付けが、各々でどのように考えられてきたのかは分からないが、前記の検討会と関係して、厚生労働科学研究「院内事故調査委員会の運営指針の開発に関する研究」が現在進行中と言われている。

 いわゆる福島大野病院事件では、県の事故報告書が警察介入の端緒となったと伝えられた。主治医はこの報告書に違和感を抱いたが、県に「患者様の補償のため」と説得されて押し切られたという判決後のインタビューを読むことができる。

 自治体病院では、時に現場意識から大きく乖離した指示がいわゆる本部から出されることがあると日頃から感じている。新潟県立病院の院内医療事故調査委員会の状況を以下に紹介する。

●新潟県の院内医療事故調査

 新潟県での医療事故対応の取り決め(以下、「要領」)は、調べた限りでは1987年に遡ることができるが、当時の内容は不明である。2000年には、ほぼ現行の「要領」が定められ、現在に至っている。

 なお、当時の状況としては1999年1月の横浜市立大学病院で手術患者取り違え事件、2月の都立広尾病院事件、2000年5月の「医療事故防止のための安全管理体制の確立について」(国立大学医学部附属病院長会議常置委員会・医療事故防止方策の策定に関する作業部会中間報告)公表、2000年8月には厚生省国立病院部「リスクマネージメントスタンダードマニュアル委員会作成報告書」があった。

 現行の要領では院内事故調査委員会での検証について以下のように記載されている。
(1)委員会は、病院長の諮問を受け、発生した事故等について検証を行う。

(2)検証は、一連の医療行為が適切に行われたかについて個別具体的に問題点を抽出しながら進め、最終的に次の2点の判断及びその根拠を示すことを目的とする。

<1>当該事故が「医療事故」に該当するか否か。なお、ここでいう「医療事故」とは、発生事故のうち次の要件をいずれも満たすものをいう。ア患者・家族等に身体的障害又は精神的障害が発生していること。イ医療従事者等に過失があると認められ、病院が損害賠償の責任を負うと考えられること。

<2>当該事故が「新潟県立病院医療事故公表基準」(平成12年11月27日策定)(以下、「公表基準」という。)に該当するか否か (以下略)

 この委員会の検証結果報告書に具体的に検証すべき項目が定められており、それに関する注意書きが記載されている。以下に紹介する。

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