最終日だったので、本来であれば何が決まって今後どうなるかを書くのが筋だろう。しかし大荒れに荒れた議論の様子を見ていたら、結局この懇談会で本当に何かが変わるんだろうか、と、分からなくなってしまった。
特に、普段なら「歯には衣着せないけれど寸止め」の有賀委員(昭和大救急教授)が副大臣を吊るしあげたのには驚いた。行政の常識ではあり得ない事態だと思うので、報告書案について書く前にどれだけ荒れたかお知らせしたい。
なお翌日に、鳥取大で救命救急センターの教授以下4人全員が退職するとか島根大の救急の教授が退職するとかのニュースが一部で報じられたので、有賀委員には、そういった事態になってしまったことの憤りがあったのかもしれない。
まずは、報告書案と大紛糾の原因となった「主な検討事項の一覧」を、先にご覧いただきたい。
荒れるきっかけは、座長のこの一言からだった。
岡井
「それぞれの財政支援の話を保険点数何点という風に出してもらって付記として提出するという話をしたが、厚労省の人とも相談して、今回の中には具体的なことは入れずに全体的な財政支援と書くにとどめ、個々の項目については別途学会などで検討していただいて大臣なりに要望書を出していただく形にしたい。この委員会として財政だけが浮かびあがるのが、結局保険かと見えるのを恐れている。お認めいただけるか」
この時は誰も何も反論しなかった。だから、てっきり根回し済みなんだと思った。実態はそうではなく、あまりの『裏切り』に委員みな声がなかったということのようだ。
この間に舛添大臣が中座し、報告書案について一通り議論し終わった後で藤村委員が口火を切った。
「診療報酬を外すというのは、座長から『あんたが好きや』と言われてたのに実際には違ったという感じだ」
岡井
「その気はあったが、話し合いの結果、外した方がよいという判断になった」
藤村
「何らかの形で点数の提案は残しておくべき。外すということになった理由を聴けたら伺いたいのだが、今まで内容を具体化する方法としての例で点数が挙げられていた。少なくとも議論の過程として報告書に残るようにできないか」
岡井
「その話が大事なのは分かるが報告書に入れても、最初は入っていたけれど、厚労省の方でダイレクトに反映させる方法がないということだから」
事務局(三浦・指導課長)
「診療報酬を指導課で取り扱っているわけではなく担当でないので、ご希望というのは十分に伺ったし、それを絶対的にここに書くのがダメということではなく、必要があれば座長とも相談して検討したい」
岡井
「もう1回考えさせていただくということではダメか」
有賀
「話は単純明解。我々の唯一の血と肉である診療報酬が段々とこうなってしまったから救急もすっかり疲弊している。点数が示されなかったら、議論したことにならないとお考えになる方もいるだろう。
診療報酬が全てでないというハイレベルでの座長の判断は理解しないではない。しかし僕たちにとっては、三浦さんがどの部局の誰かなんてどうでもよい。入れた方がいいじゃないかという意見も分かる」
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