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がん難民時代
国内での臨床研究が事実上不可能に
上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授)

2009/01/27

かみ まさひろ氏○1993年東大医学部卒業。99年東大大学院医学系研究科修了。虎の門病院、国立がんセンター中央病院を経て2005年10月より現職。

■「高度医療」制度は事実上、実行不可能

 骨髄移植を待っている患者さんがこの3月頃から移植を受けられなくなる可能性があることが、先般、明らかとなった。必要なキットの不足が確定的という。

 国内未承認のキットを輸入して使用する道もあるにはあるが、600~900万円程度の医療費が患者負担となり、事実上、骨髄移植は手の届かないものとなる。そこで全国骨髄バンク推進連絡協議会(会長:大谷貴子氏)が、厚労省に迅速な対応を求めるための署名活動を行っている

 いっぽうの厚労省は、高度医療」という制度をこの国内未承認のキットに適用し、手続き的なことを含め医師にあたらせることを考えているという。

 ところが問題は、「高度医療」制度そのものが様々な問題を内包し、事実上、実行不可能な面が多いことである。すなわち残念ながら、「高度医療」制度を適用しても患者さんが骨髄移植を受けられる解決策とはならない。

 以下、「高度医療」を事実上、運用不可能にする要因のひとつ、厚労省の「臨床研究に関する倫理指針」に着目してみたい。

■厚生労働省が「臨床研究に関する倫理指針」を改定

 平成20年7月31日に改定された「臨床研究に関する倫理指針」(以下「本指針」という)が本年4月1日より施行される。

 今回の改訂で注目すべきは、被験者保護の規定が新設されたことである。その理念自体は肯定されるべきではあるが、方法を誤れば、わが国の医療に壊滅的な打撃を与えかねない。実際、本改訂により、将来の国内のがん治療に大きな影響を与える条項が含まれることとなったので、以下に紹介する。

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