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都立墨東病院における事例検討から
労働基準法に抵触しない総合周産期母子医療センターの運営を
江原朗(小児科医、勉強会「コアラメディカルリサーチ」主宰)

2008/12/18

えはら あきら氏○1987年北大医学部卒業。91年北大大学院医学研究科博士課程修了。
勉強会「コアラメディカルリサーチ」を主宰。ホームページ「小児科医と労働基準」を開設している。

 東京都内で妊婦が8病院に受け入れを断られた後に都立墨東病院で死亡した問題を受け、妊婦の受け入れに関する医療体制の構築が模索されています。はじめに、亡くなった妊婦の冥福をお祈りしたいと思います。

1)総合周産期母子医療センター産科の勤務体制

 さて、総合周産期母子医療センターの勤務体制とはいかなるものでしょうか。周産期医療対策整備事業の実施について(平成8年月10日、児発第488号、各都道府県知事あて厚生省児童家庭局長通知)、によれば、母体・胎児集中治療管理室では、「24時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していること」とされています。

2)都立墨東病院の事例検討

1.常勤産科・産婦人科医師数

 では、墨東病院の産科には、何人の産科医が勤務しているのでしょうか。東京都周産期医療協議会資料(平成20年11月5日開催)によれば、平成20年10月27日現在、都立墨東病院には、産科・産婦人科の常勤医師数は6人いるとされています。

2.時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)

 また、都立墨東病院の時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)では、特例として年720時間まで時間外勤務を延長できるとしています。

 当直を時間外勤務と考えた場合、上限が年720時間とし、当直時間を16時間(24時間-法定の1日8時間=16時間)とすると1人あたり年間45回(720÷16=45)の当直しかできないことになります。

3.断続的な宿直又は日直に関する許可

 都立墨東病院の産科当直は宿日直扱いでは行えません。宿日直に関しては、「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について(基発第 0319007 号、平成14年3月19日、厚生労働省労働基準局長通知)」によれば、宿日直勤務を「医療機関における原則として診療行為を行わない休日及び夜間勤務については、病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈など、軽度又は短時間の業務のみが行われている場合には、宿日直勤務として取り扱われてきたところである。」としています。

 そして、墨東病院が向島労働基準監督署に提出した「断続的な宿直又は日直許可申請書」では、対象を麻酔業務に限定しています。したがって、24時間体制で行われる産科の当直は、宿日直勤務としては認められません。

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