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医学生の会 第1回勉強会傍聴記
学生を侮ってはいけないと反省
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/12/17

 医師のキャリアパスを考える医学生の会という会の学生さんから、勉強会をするとの案内をもらった。何のこっちゃっと思いながらも、珍しい試みには違いないので行ってみた。期待以上に面白かった。大人たちの議論が、いかにしがらみと建前に縛られているか思い知らされた。

 この日の講師は土屋了介・国立がんセンター中央病院院長。後期研修班会議の班長でもある。参加した医学生は、事前申し込みがあったのが10大学約80人。実際にはもう少しいたようだ。全学年いて、中心は3年生と4年生。

 勉強会とは言うものの、実際は学生たちが土屋院長に意見をぶつける会らしい。やはり気後れするのか、最初はお行儀のよい質問が続いて、しかし段々と自分の体験に根ざした勢いのある意見が出てくる。

慶應6年男性
「自分の世代の反省として、学生が上の言いなりだったと思う。実は、慶應で2年ストレートの臨床研修を希望していたんだけれど、慶應の定員が急に60人から55人に減ったという事件があって、減ったのは2年とも慶應のコースが15人から10人になった。

 その過程が問題だと思うのは、願書を出した後に突然減った。なぜこういうことになったのか、受験票と一緒に紙が送られてきて、厚生労働省からの強い要望と書いてあった。

 たとえ、この措置が医師偏在の解消に役立つとしても、いきなり学生に負担を押しつけるというのはおかしくないか。変えるにしても、学生の声を聴いてからするべきではないのか。今まで何も声を上げてこなかったから、学生側も簡単にやられてしまうのだと思った」

土屋
臨床研修制度のできた経緯を見れば、大学がまじめに医師を育てようとしていないことは明白。(中略)学生も考えなきゃいかん、その通りだが、患者さんにとってという視点を忘れちゃいかん。それを基準に考えていけばズレない。(後略)」

東大3年男性
「患者さんのニーズと言うけれど、そこに学生側のインセンティブがなかったらうまくいかない。地方に学生を行かせるというので、最初は予算つけちゃえという所から始まって、それでうまくいかなかったら読売新聞のように強制的配置にしろという意見が出てくるけれど、でもそんなことしたら、しばらくはいいけれど、医師をめざす高校生が減って、結局医師不足が進むだけだと思う。学生に対して、どんなインセンティブを与えればよいと思うか」

土屋
「インセンティブの話をする前に、何が医師冥利に尽きるかということなんだが、これはやはり患者さんの感謝の言葉、治って笑顔になる、治らなくてもお礼を言ってもらえる、この職業から足を洗えなくなるのは、そういう喜びが大きいからだ。

 要は人間と人間のふれ合いの中に喜びはあって、そういうものが具現化しやすいのは、実は大学の中ではなく、開業してその人の人となり背景事情を全部知って家族のようになったところだ。最近は特に開業したからといって金儲けできるわけじゃない、むしろそういう喜びを求めていく人が多い。

 中堅や若手の医師が僻地に行きたがらないのは、僻地へ行けるだけの教育をされてないから。自分の実力が心配なのだ。ある診療科しかやったことがないのに、いきなり総合医・家庭医の必要な地方へは行けない。

 読売新聞もバカを言っちゃいけない。あの私案、大筋ではいい線行っていると思うが、若手の強制配置に関してだけは現場を見ないで言っている。地方へは中堅どころが行かないと意味がない」

群馬大5年女性
卒前教育を充実してほしい。アメリカではメディカルスクールの後ろ2年はほとんどクリニカルクラークシップとして実習できている。でも日本では6年生は座学中心で、5年生は医師免許がないから見学になっている。そういった卒前での教育の遅れが、卒後教育の遅れにもつながっている。

 私は、臨床研修の検討会に嘆願書を出している。5年終了時に医師国家試験を受けるチャンスを与えてほしい。免許がないと医療行為ができない。6年生に自動的にとは言わないから、試験を受けて合格した学生には実習を受ける権利を与えてほしい。やる気のある学生にインセンティブを与えてほしい」

土屋
 「よく分かった。私は1970年の卒業だが、私が学生時代にしていた議論そのものだ。いかに進歩してないか分かる。系統講義なんかは、学生を信用して、本を読んでおけ試験するからで十分だろう。そうすれば実習の時間は取れる。

 で、国家資格はなくても関係ない。というのが、医師に何が一番必要かというと、たとえ外科医であっても腕ではなくマネジメントのブレインワークだ。どういう治療を適用してあげるかが大事なんであって、そのディレクター機能が一番必要。その時にベッドサイドで患者さんを診てどう考えるか。ロジックをつくって解答を出す。

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