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第16回「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方検討会」傍聴記
厚労省内部に自己修正機能はないのか
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/11/18

 医療界のリーダーどうしが激しく罵り合う大荒れの検討会だった。

 この日は、全日本病院協会の徳田禎久常任理事、全国医学部長病院長会議の嘉山孝正・大学病院の医療事故対策に関する委員会委員長(山形大学医学部長)、医療過誤原告の会の宮脇正和会長、の3人からのヒアリングして質疑応答という流れ。

 3人のうち、徳田、宮脇の2人は資料にかなり忠実に陳述したので、資料をご覧いただくことで報告に換えたい。徳田資料はこちら、宮脇資料はこちら

 問題は嘉山参考人で、その陳述から。

「検討会の意義については徳田先生からもお話があった通り。このような検討会があって様々な議論が行われたことは、医療に対する不信感を拭う一つの場になったのでないか、とありがたく思っている。大学病院というのは最もハイリスクの医療を行っており、その勤務医と共に日本の医療レベルを支えている。その我々も、国民の目線、患者の目線から見て事故調がどういう意味を持つか検討を進めてきた。

 99年の横浜市立大学での患者さん取り違え事件以来、全国の国立大学医学部附属病院が真っ先にこの問題に取り組み種々の制度整備も進めてきた。事故調査も、かなり厳密にやっている。その立場からすると、前田座長に申し上げたいのは、このような法案ができたら、かえって迷惑である。かえって事故調査できなくなる。

 なぜならば徳田先生も仰っていたが、この法案には患者さんの救済と事故調査の異なるジャンルのものが一緒くたにされている。これは分けるべきだ。サイエンティフィックな根拠については資料2からずっと見ていただきたい。この場では、今、大学病院で何をしているか説明する。

 まず資料の2ー4から。これは残念ながら朝日新聞しか報道してくれなかったのだが、あるレベル以上の事故は公表することになったというもの。情報は、たとえば手術中のことなら、看護部からも上がってくるし、麻酔科からも上がってくるし、当該診療科からも上がってくるという風になっていて、山形大では24時間以内に病院長まで報告しないと隠蔽と見なすということになっている。

 某大新聞の論説委員が大学病院は悪いことばっかりやっていると言っているが、このように患者さんご遺族が一番知りたいと言っている事故調査の真実はもう出ている。

 2ー2ー1は航空機の条約で、2ー2ー2が日本学術会議の提言、2ー2ー3はWHOのドラフト。要するに何が言いたいかというと、事故調査は、現場の当事者が調査する者を信用して真実を言ってくれるかどうかにかかっている。この法案の事故調が通ると、全容が出てこなくなる。クレームフリーでなくなるからだ。

 先ほど患者さんの目線、国民の目線と言った。患者さん国民が注目することは二つあると思う。一つは情報がきちんと開示されているか、もう一つはそれに則って再発防止策をきちんとやっているのか。今日は高本委員が欠席で残念だ。

 前々回か高本委員がWHOのドラフトについて色々と述べられたが、あれは引用した趣旨が全然違う。刑事処分の話が、WHOのドラフトに入ってこなかったのは、その部分が採用されなかったからに過ぎない。

 高本先生が言っていたことは科学的にも根拠がない。それか佐原さんは、まだドラフトで決定でないとよく仰るが、ドラフトがなければ決定もないのであって、WHOが出している以上尊重すべきだろう。そうでなければハンムラビ法典と同じような後出しじゃんけんによって、医療が大きく損なわれていくことは間違いない。

 根本的に法案の構成が全く間違っている。前々回(ママ)か座長がいみじくも患者さんの応報感情に言及したけれど、座長は刑法の権威だが本当に刑法はそういうものなのかということで、資料の2ー5ー1で、私ことし神戸であった日本法社会学会に行ってきたので、その時に愛媛大の小佐井先生という方が発表した資料をつけた。

 たしかに私も自分の身内に何かあったら感情が動いて悲しみや怨みが出ることは間違いない。ただし、それと事故調査とは切り離さなければならない。最近のわが国の風、空気は被害者の感情に配慮することが主流のようだが、小佐井先生には、今日の場でこのように提出することをご了解いただいている。

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