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第14回診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方検討会傍聴記
世の中は動いても、ここでは時間が止まっている
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/10/14

 なぜ、この検討会を今開かなければならないのか、もともと意味が分からなかった。傍聴してみて、ますます、その感を強くした。

 先に概要だけ述べておくと、パブコメの内容がある程度集約され、それへの厚労省の見解が説明された。

 で、今後は法案大綱に反対している人たちを呼んでヒアリングするという結論になったのだけれど、法案大綱ができているということは自民党とは話がついているのであり、もう政治のステージに移った話のはずだ。自民党が戻したのでない限り、検討会で何を議論しようが法案には反映されない。(民主党が選挙で勝てば、ご破算で最初からやり直し)

 ヒアリングとは言うものの、反対派の意見も聞いたというアリバイづくりにしかならない。そんなの真面目に採り上げて論評する価値があるもんだろうか。こっちだってクソ忙しいのに。

 百歩譲って、中身が面白かったならまだしも、これがつまらん。今年度になってから、ビジョン会議系の「自分たちでやるぜ」という建設的な検討会の傍聴が多かったので、久々に旧来型の「事務局の筋書き通りに言ってみるだけ、あとは事務局よろしく」という進行を見て、その余りの眠たさにどんよりした気分になった。そうは言っても、溜めといても気持ち悪いだけなので、さらっとご報告する(敬称略)。

 ちなみに看護協会選出の委員が交代、でも欠席。他に、鮎澤、加藤、堺、辻本の4人が欠席、南が遅刻。そりゃそうだよね、これだけ意味のない会議だったら皆さん出たくないよね。

前田座長
「パブコメの主な意見とそれに対する厚生労働省の現時点での考え方を事務局に準備してもらった。それを踏まえて、今後この会議をどう進めるか、議論したい。まずはご説明を」

 ということで佐原医療安全推進室長が30分ほど説明。

前田
「何かご質問ご意見があれば」

 誰も何も言わず。

前田
 「気づいたことなら何でも結構」

高本
「今後は行政処分が大きな意味を持ってくる。ここには医道審の意見を聴いたうえで厚生労働省が処分をくだすと書いてあるが、曖昧だ。再教育中心のものにしないと、調査委員会の方も十分にファンクションしない、委員会の機能が半減する。今の医道審では、お話にならない。しっかり見直してほしい」

杉野医事課長
「ご指摘の点は重要。現状は、刑事上の処分を受け、その内容を勘案しながら参考にしながら処分しているという実態。医療安全調査委員会ができた後は行政処分のルートや中身が大きく変わるのは当然。新しい委員会の仕組み・流れを前提に大幅に見直す必要があると考えている。具体的にはまだイメージできていないが、しかるべき時期にしかるべき方向でと考えている」

 ここから先、時間が過去に戻ってしまったかと思うほど新味のない意見が続く。世の中は激動しているのに、この検討会だけは時間の流れが違う。

山口
「医療者の多くの関心は、委員会への届け出が捜査当局へつながるのでないかということ。届け出範囲にはガイドライン案がある。通知される標準的医療からの逸脱というのがどの程度のことを指すのか、専門家の中でも意見が違うし、状況によっても違うだろう。

 ほとんどの医療者は一生懸命まじめにやっているのであって、刑事責任を問われなければいかんものはわずかだと思う。しかし、それが例えば地域によって基準が違うのでは具合が悪い。通知の基準づくりはどうか」

佐原
「届け出後も学術専門団体の落ちからをお借りするので、出口の判断も役所だけでは決められない。アドバイスをいただければ」

前田
「今でも刑事で扱われている数少ない例でも、鑑定までいくかは別にして医師の判断を参考にしている。入口とは違って、委員会に法の人間が入るとは言っても、基本は医療の側の判断だ」

木下
「医療界の方々に説明に歩いていると、『重大な過失』の意味が曖昧でよく分からないと言われるのだが、司法界の先生方にお話を伺うと故意に準じるくらいの重大なものということでハッキリと定義されているという。大綱案になって、標準的な医療からの逸脱という表現になったのだけれど、かえって何をもって逸脱というのか、で、また大騒ぎになっている。

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