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佐藤章周産期医療の崩壊をくいとめる会代表インタビュー
ここで頑張ってこそ、大野病院事件に区切りが付けられる
川口恭(聞き手:ロハス・メディカル発行人)

2008/10/01

――加藤克彦医師の無罪が確定してから1ヵ月も経たないうちに、妊産婦死亡した方のご遺族を支援する活動をお始めになりましたね。いろいろな意味で驚いたのですが、まずこれまでやってきた加藤医師の支援活動と今回の活動とどのように関係するのですか。

 まず誤解している方が多いようなので断っておきますと、大野病院事件で亡くなった方、そのご遺族に支援金を贈ろうとしているわけではありません。あくまでも今後発生するであろう妊産婦死亡の方が対象です。もちろん今後の運動の進み具合によっては遡って支援するということもあるかもしれません。

 一方で、加藤君の支援と全く関係ないとも思っていません。刑事裁判の最中でも一方的に『加藤君は悪くない』ではなくて、『医療の力が及ばず亡くなられたことは残念だ』とずっと言ってきたつもりです。医師が一生懸命にミスなく医療をしても亡くなることはある、その現実を分かってほしいと言い続けてきました。

 そして、そういう不幸なことが起きた時には医療者だって悲しいし、自分たちにできることはしたいんです。その、医療には限界があるという現実と我々だってご遺族に寄り添いたいんだという気持ちを分かってもらうにはどうしたらよいだろうと考えた時、百万言を費やすより行動で示すべきだと思っていました。

 ただ、そうは言っても刑事裁判が続いている間は迂闊な行動もできないわけで、幸い一審だけで決着がついたので、今回の活動を始めることにしました。

――加藤医師の支援活動に対しては、主に医療者以外から、医師どうしの庇いあいという批判もくすぶっています。そうではないと分かってほしいんだ、ということですか。

 そうです。周産期医療が立ち行かなくなったら、医療者だけの問題じゃ済まないんです。でも、それを加藤君支援の文脈で言っている限り、信じてくれない人は永久に信じてくれないでしょう。

 来年から始まる産科無過失補償が、脳性まひの赤ちゃん対象で、妊産婦死亡した方は救済の網から漏れてしまうことも産科医の間で問題意識がありました。ご遺族は悲しみと共に乳児を抱えて大変なご苦労なさっています。

 まさに大野病院事件も妊産婦の亡くなった事例でした。その方々に救済の網がかかるまで何年かかるかも分からない。だったら自分たちでやってみよう、こういうことです。モデルとしてイメージしたのは、交通遺児に対する支援活動です。

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