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放射線医学見学ツアー報告記
森田知宏(東大医学部3年生)

2008/09/30

もりた ともひろ氏○2006年東大入学。現在医学部3年生。
学校のカリキュラムに追われながら、将来の医療のために
医学生として何ができるかを模索中。

 8/13-14の二日間、放射線医学見学ツアーが開催されました。私は東京大学医学部3年の森田知宏と申します。今回夏休みを利用してこのツアーを企画しました。

 放射線医学と聞いて皆さん何を思い浮かべるでしょう。PET、CT・・・名前だけは知っているものの実態はよく知らない、といった方が多いのではないでしょうか。実はがんの治療法としても注目されており、今後も更なる発展が見込まれる分野です。

 そのような放射線医学の現状や可能性を探ろう、というコンセプトでこのツアーは実行されました。8大学から22人が参加し、下は2年生、上は6年生までと幅広い学年層で、なかには工学部や関西からの参加もありました。

 このツアーはもともと、国立がんセンター中央病院長の土屋了介先生が放射線医学研究所の村山秀雄先生の講演をお聞きになった際に非常に感銘を受けたことに始まります。

 土屋先生は未来の医療を築くのは学生であるとの視点から、学生との交流を非常に重視なさっている方です。「こんな面白い話があるのならぜひ学生に聞いてもらおう」ということで、要職で御多忙の身ながらこのような機会を作ってくださいました。

 1日目は国立がんセンター見学です。午前中は国立がんセンターの国際会議場にて講義が行われました。

 国立がんセンター中央病院放射線診断部長の荒井保明先生からは、IVR(Interventional Radiology)の魅力についてのお話がありました。IVRとは、CT等で体の内部を見ながらカテーテルを用いて治療を行う新しい手法です。

 大掛かりな手術をせず、患者さんの負担を軽減できるIVRはとても夢のような話でしたし、エビデンスがあまりなく、自分たちのやることが最先端になるというのは非常に魅力的でした。

 放射線治療部長の伊丹純先生からは、放射線治療の現場について講義が行われました。放射線治療の適応疾患は知っていてもそれが実際にどのように治療されているのかは、学校の講義ではわかりません。

 様々な放射線治療の実際について、症例写真を何枚も使ってわかりやすく説明してくださり、放射線治療の威力を感じることができました。質疑応答では、講義内容や医療現場について多数の質問が飛びます。

 集まったばかりで緊張の色が抜けない参加者に対し、先生方はユーモアを交えた返答をしてくださりました。

 講義が終わると昼食です。病院側の計らいで、昼食は放射線科のレジデントの先生方と一緒に頂けることになりました。年齢も近いレジデントの先生方と楽しく昼食を頂きながら、「レジデント部屋は前の住人の物は置きっぱなしなので、それによって住みやすさが異なる」など、普段では聞けないレジデントの先生方の本音をうかがうことができました。

 いよいよ病棟見学です。全員白衣に着替えます。CT、PET、MRI等の大掛かりな機器それぞれについて丁寧な説明がされます。実際に患者さんに使用している場面にも立ち会えました。

 患者さんにPET用薬剤を投与しているところの見学や、CT体験などもさせていただきました。私を含め病院見学の経験がほとんどない学生も多く、病院内にしては少し騒ぎすぎてしまった気もしますが、それほど楽しい内容でした。

 国立がんセンターの見学後、船橋の宿舎まで移動し、放射線医学総合研究所イメージング物理研究チーム、チームリーダーの村山秀雄先生からPETについての講義がありました。

 村山先生は物理学科出身です。本物の物理の話なので難しい話になるかなあ、と正直なところ不安でした。しかし先生のお話は論理的でわかりやすく、PETの解像度と感度をいかに両立させるかについて自分なりに理解することができました。

 また村山先生の要望もあり、講義中は自由に質問が飛び交い、そのつど先生が答えるというオープンな雰囲気で楽しめました。

 講義後は先生方も交えて打ち上げです。初対面同士という参加者も多いなか、がんセンター見学等を通じて徐々に打ち解けてきたようで、打ち上げ後には宿舎内で二次会も行われました。

 二次会には土屋先生も参加してくださりました。土屋先生を囲んでお話を聞いていたのですが、酔いも手伝い学生側からも多くの意見が出て、医療制度や医学教育、“一流”の条件など、様々な内容について活発な議論が展開されました。

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