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インターネットで広がる新しいがん医療の可能性
成松宏人(日本対がん協会がん対策のための戦略研究推進室室長補佐)

2008/09/30

なりまつ ひろと氏○1999年名大医学部医学科卒業。2008年名大大学院医学系研究科分子細胞内科学(血液・腫瘍内科学)修了。2008年4月より現職。

【がん医療における情報伝達の研究は世界的にも注目されはじめている】

 このたび筆者らの研究グループは、「がん関連ウェブサイトの訪問者特性」について解析を行い、その結果がJournal of Clinical Oncology誌9月1日号に掲載されました。

 『Journal of Clinical Oncology』誌はアメリカ腫瘍学会の機関誌で、臨床腫瘍学の分野で最も読まれている学術雑誌の一つです。今回の研究成果の掲載は、がん医療における情報伝達が世界的のがん研究者にも注目されはじめていることを示しており、今後ますますこの分野の重要性が増してくると思われます。

 そこで本稿では、私たちの今回の研究を紹介させていただきたいと思います。なお、この研究は厚生労働省の班研究(主任 中田善規 帝京大学麻酔科教授)の一環として行われました。

【インターネットから情報を得るがん患者が増えている】
 がん患者さんにとってインターネットは貴重な情報源です。自分自身や家族が初めてがんと診断されたとき、手術や抗癌剤の治療を受けるときなどをきっかけとして、インターネットでがんに関する情報を集めることが多いと思います。しかし、インターネット上には情報があふれており、自分に本当に重要な情報を得るのは簡単ではありません。

【患者にとって使い勝手のよいウェブサイトとは?】
 がんに関する情報を提供しているサイトは、提供する情報の種類によって大きく二つに分類されます。

 一つは、一般的ながん情報を提供する国立がんセンターのホームページなどのサイト。もう一つは、闘病記サイト(もしくはブログ)といった、提供する情報の範囲は狭いものの、より特殊な情報を提供するサイトです。

 患者さんの個別のニーズに対応できる使い勝手の良いウェブサイトを構築するためには、いろいろな種類のウェブサイトが有機的に連携することが必要です。

 そのためにも、「いつ訪問するか」「どのような頻度で訪問するか」などの訪問者の特性をウェブサイトの種類毎に把握して、患者の個別のニーズに合致したウェブサイトを作っていく必要があります。

【影響力の強いがん関連100サイトを抽出】
 そこで私たちはまず、「がん」や「悪性腫瘍」といった、がんに関係するキーワードを使用してYahoo!検索を行い、ヒットする2000ウェブサイトを抽出しました。そのなかで、より検索されやすいウェブサイトを独自の基準で100サイト選びました。

 そして、これらのサイトに対してアクセスログ(訪問者がウェブサイトに残す「足跡」)の解析をお願いしました。結果、匿名を条件に25のウェブサイトに協力に応じていただきました。

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