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新しい試み、患者学公開シンポジウム
第70回日本血液学会総会を迎えるにあたって
須田年生(慶応大、第70回日本血液学会総会会長)、田中祐次(東大医科研、同総会患者学シンポジウム司会)

2008/09/25

【ターニングポイントにある血液学】
田中 来る10月10日(金)~12日(日)、日本血液学会臨床血液学会がひとつになった初めての総会が、京都で開催されます。

 ※第70回日本血液学会総会のホームページはこちら

 須田先生、合併後初めての総会開催ということもありますし、先生ご自身の思いのこもったプログラムもあるかと思いますが。

須田 今回の第70回総会では、やはり両者一体となって新しいスタートを切るわけですから、内容にもそれに見合う新しい何かが求められてくると考えています。たとえばそのひとつが田中先生にお願いしている患者学の公開シンポジウムです。

 患者学は今の血液内科学にぜひ取り入れられるべき視点であり学問であるかもしれません。田中先生も日々お感じになるところがあるかもしれませんが、血液内科学はその歴史的に見ても今、少し元気がなくなってきているんですね。

田中 元気がなくなってきているといいますと……。

須田 ええ。やはり厳しい医療領域なので、若手があまり参入していないことがかなり大きい。血液学会の参加者も、もしかすると平均年齢がかなり上がっているんじゃないですかね。

田中 そうですね。

須田 しかし、だからといって若手がみな一様に“医師のQOL”を叫んで平穏無事な医師生活を望んでいるのかというと、そんなことはないと思うんです。医師を志して医学部に入学してきたからにはやはり「チャレンジしたい」と考えているんだけれども、それでもやはり報われない要素もあるのが現実ということです。

田中 具体的にはどういうところでしょうか。

須田 忙しいばかりで、日々のルーティーンに追われてしまって。たとえば僕が血液内科を選んだときは、骨髄移植はまだ確立していなかったから、それを立ち上げていくのにものすごく多くの人が情熱を燃やしていたんですね。

田中 その“波”はもうかなり前に去ってしまったと。

須田 ただそれでも、今はまた分子標的療法が出てきましたし、骨髄移植の方法はある程度確立したけれどもそういった新しい臨床腫瘍学が育ってきているので、もう一回、血液学も元気になるときがきているのかもしれませんね。

 その際に大事なのが、患者支援の人たちにも協力を求めていくことじゃないかと考えています。血液学会の広報委員会にも患者支援の人たちに入ってもらっているんですが、とてもアイディアが豊富で、医師や大学関係者だけの広報委員会とはぜんぜん違いますね。何を患者さんが求めているのかを彼らはちゃんと言ってくれますから。

 たとえば「こんなガイドラインが必要です」とか「専門の先生がどこにいるのかわかるようにしたほうがよい」などという意見が出たりして。後者については実際、Google Mapを使って専門病院がすぐわかるものを作ろうということになり、グループを立ち上げました。

 我々だけでは形にならないものも、アイディアを提供してもらったり、アイディアから形にもっていく後押しをしてもらったり。患者支援の人たちにとっても、彼ら自身が患者さんから得た情報やそれをもとにした考えを現場に還元して、彼ら自身が参加していくチャンスともなるでしょうね。

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