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医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案に対する意見
足立光平(兵庫県医師会常任理事 医事紛争・医療情報他担当)

2008/09/24

あだち こうへい氏○兵庫県医師会常任理事(医事紛争・医療情報他担当)。

※兵庫県医師会として9/3付で厚労省宛に提出したものです

[1.はじめに]
 本件について、厚生労働省がその早急な設置の必要性を踏まえつつ、問題の重要性に鑑みて「広く国民的な議論」に供するため、三次に渡る改定「試案」を提起され、パブコメを求め慎重な対応をされてきたことには敬意を表します。

 兵庫県医師会としても、この間の医療安全を巡る動向の中で、そのような調査機関の設置そのものの必要性は認めつつも、その設置の中立性、調査・報告の中立性の担保等によって、いわゆる医療事故の真相が解明され、その後の医療安全確保に資するものとして十分機能することを願い、その観点から、これまでも意見を発し、慎重な検討を求めてきました。

 今回の法案大綱は、その「三次試案」に基づく「イメージ」として提起されたものですが、その「三次試案」に至る問題点が根本的に克服されたものとは言えず、むしろ、多くの課題を残したままのものとなっています。

 時あたかも、本件法案化の直接の契機ともされる福島県立大野病院における産婦人科手術を巡る裁判においては、「業務上過失致死罪」と「医師法21条違反」のいずれにおいても、無罪であるとの明確な地裁判決が、8月20日に下されました。

 当該患者の術中死発生後1年2ヶ月もたって、担当医に見せしめの手錠までかけた、この異様な刑事警察の介入の不当性が逆に断罪されたといっても良いでしょう。

 その立件・立証の破綻を克服できない検察は控訴を断念しましたが、厚労省としては、まっとうな産婦人科医療を守り育てる立場から、このような不当介入を二度とさせない申し入れを行うべきです。

 かりそめにも、そのような刑事介入からの例外措置をお願いするような形で、本案の調査委員会を受け身かつ刑事処分と連動する設置という本末転倒を犯してはなりません。

 その上で、患者・家族にも、医療関係者にとっても納得のいく関係システムの構築を早急に目指すべきことはいうまでもありません。単なるパブコメの集約と「大綱案」の部分修正に止まらず、与野党を問わない「国民的合意」の得られる法案として、また国際的な評価にも耐えられるものとして更に検討整備され、確立していくことを願うものです。

 このような観点から、今回の「大綱案」につき、以下検討と提起を行います。

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