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がん対策基本法1年半 成果の少なさに忸怩たる思い
仙谷由人代議士インタビュー/聞き手:川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/09/16

せんごく よしと氏○1946年徳島県生まれ。東大法学部中退。弁護士。1990年日本社会党より衆議院議員初当選(以後当選5回)。96年民主党の結党に参加。政策調査会長、「次の内閣」厚生労働大臣、衆議院決算行政監視委員長等を経て07年9月より衆議院議員運営委員会理事。

――がん対策基本法が成立して1年半経ちます。立法を推進した立場として、現状をどうご覧になりますか。

 医療安全調査委員会に関して、厚労省の示した法案大綱と民主党案のどちらが好ましいか尋ねるサイト上の世論調査がありましたね。あれを見てみると、現場の方々が、医療崩壊の危機をどうやって再構築できるのかということと関連して、医療事故についても非常に危機感を持っていることが分かります。

 それなのに厚労省は、変に官僚的に組織を組み立てようとしていて、組織を作れば解決するかのように思いこんでいます。マスコミの批判を、それで役人はかわすんですな。いや、かわすというより、むしろ焼け太りと言った方が正しい。現場の危機感を常識で持たなくなっていることがよく分かります。

「がん」もよく似ていて、がん対策基本法がなぜ必要だったのかという政治的な意味が、政策担当者に全く分かっていないと思います。米国に遅れること36年の段階で我々の基本法は施行されたわけです。

 何をすべきかと言えば、医療水準を踏まえたうえで標準治療からの遅れを把握し、国民に対してどのように標準治療を保証するか。それを改めて実施していく機構なり人材をどう作り、そのための予算をどうかけるか。

 その発想で取り組まないといかんのに、今までの対がん10カ年戦略の延長線上でちょっと修正すればいいとか、各県に計画作らせればそれで何とかなると思ってやっている。

 そもそも、がん対策基本計画ができた一つの大きな要因は、患者さんが立ちあがったことですよ。それを基に国民参加の下でどう広げていくかの視点が必要なのに、年間の対策予算200億円が300億円になったとか言って、砂漠に目薬を撒くようなことにしかならず、忸怩たる思いです。

 先日も、ある乳がん患者さんから、対策が予防検診に偏り過ぎでないかと批判されましたが、その予防検診すら目標達成が危機に瀕していますね。乳がん検診、子宮頸がん検診に関しては、先進国の中で一歩も二歩もずっと遅れていますよ。

 科学的データで受診率50%まで行けば発見率が飛躍的に上がり、死亡率も下がると分かっているのに進められない。子宮頸がんのワクチンにしても、「そんな金のかかることはできん」だけで一刀両断してお終い。どうやったら可能になるか組み立てようという発想がないんです。

 国民と一緒になって、こういうことが必要なんだ、それはそうだ一緒に創ろうじゃないかと巻き込むことができていない。がん難民が少しでも減るように、ある種の運動を作りだしていかないといけないはずです。ところがそういう方向へは全く行かない。これね、なぜそうなるかといえば、行政には、今までの反省、何がマズかったのかの総括がないんですよ。

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