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安全監視体制構築のための制度改革の提案
輸血による薬害の防止策
下平滋隆(信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター)

2008/07/31

しもだいら しげたか氏○1990年信州大学医学部医学科卒業。2008年信州大学医学部附属病院輸血部准教授、先端細胞治療センター副センター長。輸血・細胞治療、再生療法の開発研究に従事。

 「薬害の再発防止策の検討では、予算が必要(とりあえず)という結論。予算が取れなかったから薬害が防げなかったという点では一致したということ。では、何の予算が足りなかったのかの話はしたのだろうか」

――薬害防止に関して、厚生労働省の審議会(薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会)はこのレベルの議論にとどまっている、それが日本の医薬品行政の現実です。

※「怒れ!日本国民」 川口恭 ロハスメディカルブログ 2008年7月7日

 血液製剤によるウイルス性肝炎やHIV感染という過去を経てきた今、将来に向けた薬害の再発防止策は明確になっています。さらに地球温暖化とグローバル化により忍び寄るデング熱や鳥インフルエンザなどの病原による脅威に対して、輸血の安全性のために備えるべき道も、(とりあえずではなく)明らかです。

 本年1月16日に公布、施行された「汚染された血液製剤によるC型肝炎感染被害者を救済する薬害肝炎救済法」が、SD処理というウイルス除去不活化処理導入(フィブリノゲン1994年12月、第IX因子製剤93年9月)以前か以後かで対象が分かれているのも、その証左です。

 輸血用血液による感染症に対しては、不活化という技術導入と、同時にヘモビジランス(輸血血液安全監視体制)構築という、献血から製造される血液製剤によって発生する副作用を収集・分析・情報開示する体制の整備という合目的な流れがあります。

 これらこそまさに輸血による薬害の再発防止策に他なりません。目に見える形として、5年の経過の見直しを要する「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に、不活化導入および実効性のあるヘモビジランスの構築を謳うべきでしょう。

 現状では、全ての輸血副作用および有害事象についての総合的な報告・解析体制は、日本にはありません。連結可能匿名化を行ってしても、なぜできないのでしょうか。

 輸血副作用についての報告・解析は今のところ、製造・供給元の日本赤十字社血液センターの自発的報告による原因検索および感染症収集にとどまります。

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