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ガンバレニッポン 研究開発力強化法成立
日本の研究開発の国際競争力強化をめざして
成松宏人(日本対がん協会がん対策のための戦略研究推進室室長補佐)

2008/06/30

なりまつ ひろと氏○1999年名大医学部医学科卒業。2008年名大大学院医学系研究科分子細胞内科学(血液・腫瘍内科学)修了。2008年4月より現職。

 今年6月5日、研究開発力強化法(正式名称「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」)が、自民、公明、民主などの賛成多数で議員立法で成立しました。

 この法律は自民党・林芳正氏、民主党・鈴木寛氏、公明党・風間昶氏らの提案によるもので、日本の研究開発の国際競争力を高めるための基本的な理念や方針を示しており、日本のライフサイエンス分野の将来に大きく影響すると考えられます。

 しかしながらこの法案成立を報じた新聞一般紙は朝日新聞のみで(1)社会の注目を引くことはありませんでした。一方、ライフサイエンスの分野の研究に関わっている医師や研究者にとっては、非常に重要な法律です。本稿では、法案成立にいたるまでの国会答弁(2)もあわせ、この法律の内容を紹介させていただきます。

 まず、この法律がなぜライフサイエンス研究に携わる医師・研究者にとって重要なのかを理解するには、近年のわが国の研究開発をとりまく経済環境を念頭に置く必要があります。

 昨今の研究開発の国際競争は熾烈を極め、先進国は言うにおよばずBRICS諸国も研究開発分野には多大な投資を行っている状況です。それに対し、わが国の科学技術関連予算総額は平成13年には約4兆5千億円だったものが平成19年には約4兆円へ減少しています(3)。

 特に、平成18年より行革推進法(正式名称「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」)(4)に基づき、大学など研究機関では役職員の人件費を平成18年からの5年間で5%以上削減することが求められています。

 たとえば東京大学の平成17年度の人件費の総額は約820億円(5)ですので、5年間で41億円の削減を求められていることになります。これは平均給与を1000万円とすると410人の雇用が失われる計算になります。

 さて、医学研究者にとって今回の研究開発力強化法における重要な内容は主に、

1)科学技術に関する教育水準の向上、若手研究者の活用等による研究開発の基盤の強化
2)競争的資金の活用による競争の促進
3)科学技術の進行に必要な資源の柔軟かつ弾力的配分

です。

 なかでも若手研究者の問題は、法案採決に先立ち、6月4日の衆議院・文部科学委員会における共産党・石井郁子氏の質問中でも大きく取り上げられました。博士課程を終えたポストドクター(いわゆるポスドク)の失業は社会問題にもなっています。 

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