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『安心と希望の医療確保ビジョン』第9回会議傍聴記
悪夢の3原則(厚労官僚にとって)
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/06/02

 大臣とは国民を代表して省庁を監督する者であって、省庁の代弁者ではない。しかし実際には、官僚が面従腹背で大臣に従わないこと、従ったふりをして骨抜きにすることが横行しているらしい。であれば従わせるには、それなりの手練手管が必要であり、官僚機構が培ってきた手法・論理を逆手に取ることも必要である。

 なんで、こんなことを書くかと言うと、まさに『官僚内閣制』の主要ツールである検討会という場を使って、大臣が厚生労働省の権益に大きくメスを入れる奇襲攻撃を行い、まんまと成果を挙げたからだ。このビジョンを旗印に道路財源を分捕って権益が増えるかも、と期待し準備してきた事務方からすると悪夢だったに違いない。

舛添要一・厚生労働大臣
「今日は大体の骨格についておまとめいただきたい。国民に安心・安全を提供するというのが内閣の大きな課題であり、医療ビジョンも大事な局面にある。よろしくお願いします」

 まず、事務局が骨子案(1)(2)(3)を説明する。ここまで引っ張って、でも全然明確なビジョンになっていない。前回の大臣の話では、この方向性を持って総理と相談するとのことだったはず。こんなものを持って総理官邸には行けないだろう、どう決着つけるんだ、と会場が見守る中、質疑が始まる。

野中博・野中医院院長
「はじめに、が大事。各論を議論する前に国民や社会において、医療がどういう意味を持っているか捉えておかないと。国が国民に対して保証する事業だと思う。それを国民みんなで国の指導のもと支えていこうということ。

 ぜひ、その視点を冒頭に入れていただきたい。そうすれば、やらさせるのではなく、自ら取り組む身になって考えられるだろう。国民皆保険には1人1人に役割がある」

松浪健太・厚生労働大臣政務官
「野中先生のおっしゃったことは最も重要だと思うのだが、安心というのが現在の、希望というのが将来への持続性、それをいかに国民に信じてもらえるか、そういった図をつくって事務局にも渡してある。

 ここでは5項目になっているが、まとめると、医師数の問題、医療機関のネットワークの話、医療者と患者の協働の話であり、3つにした方が分かりやすいと思う。

 それから順番も大事で、最も最初に来るべきは医師数ではなく、医療者と患者の協働の話であり、それからネットワーク、最後が医師数でないか。並べ方がどうか。構成をしっかりすることが政策に反映されるので考え直すようお願いしたい」

 松浪副大臣は前回も同様のことを言っていた。事務局は全く反映する気がないようだ。随分失礼な話だが、それはともかく、しばらく淡々と細かい技術的な議論が進む。

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