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「診療側も患者側も第三次試案に騙されている」
足立信也参院議員インタビュー/聞き手:川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/04/23

あだち しんや氏○1957年大分県大分市生まれ。1982年筑波大医学専門学群卒業。2004年第20回参議院議員選挙(大分県選出)で初当選、医療を中心とした社会保障の改革に力を注ぐ。現在、行政監視委員会筆頭理事、厚生労働委員会・倫理選挙特別委員会各委員、民主党政策調査会副会長、民主党副幹事長、民主党大分県連代表代行。

――診療関連死の死因調査機関を設立するという厚生労働省のいわゆる第三次試案をどのように見ますか。

 第三者機関の設立というのは、横浜市立大学病院の取り違えとか都立広尾病院事件とか、特に福島県立大野病院事件がエポックだったけれど、そうした具体的事案に基づいて動き出したにもかかわらず、第三次試案では現在と何も変わらない。

 大野病院事件のように医療機関が届出の必要がないと判断した事故でも、後に医師個人が届け出義務違反で逮捕されるという事案の発生を防げない。

 もし大野病院事件が有罪だったら勤務医を辞めるというようなことを多くの人から聞いている。診療現場の願いは警察・検察による介入を制限することだが、第三者機関ができればそうなるかのように誤って伝えられている。

 今回、刑法や刑事訴訟法には全く変更が加えられない。現状は自然死以外、必ず警察が関与する仕組みになっている。その介入は止められない。だから、言葉は悪いが騙されていると思う。

 逆に自然死であれば、警察・検察は介入しない。自然死か否かの判断をできるのは死亡診断書を書ける医師か歯科医師だけ。その死亡診断書に客観性を持たせるための制度であれば、患者・遺族の納得を得ることもできるだろう。今回は、そのように制度設計すべきだった。

 刑事処分につながる道が残される以上、真相究明・再発防止との整合性もない。ちょうど11日に日航機どうしのニアミスで管制官に逆転有罪判決が出た。あれはヒヤリハット報告事例だ。刑事有罪になると、より大きな事故を防ぐためにあるヒヤリハット報告が全く機能しなくなる危険性もある。

 第三者試案の不備を挙げるとキリがないけれど、たとえば死亡に至らない多くの有害事象があるのに、重い障害が残った場合でも調査対象にならないのでは、患者・遺族の不満は解消されないし、警察の介入も防げない。

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