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「医療事故調 第三次試案」に対する意見
小松秀樹(虎の門病院泌尿器科)

2008/04/11

こまつ ひでき氏○1974年東京大学医学部医学科卒業。虎の門病院泌尿器科部長。

●はじめに 
 07年10月17日発表された厚労省の「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案 第二次試案」と、その後発表された11月30日付けの自民党案「診療行為に係る死因究明等について」は、後者で言葉があいまいになったものの、全く同じ枠組みであり、具体的な内容に変更はなかった。

 現場の医師からは、第二次試案-自民党案に強い反対意見が表明された。第二次試案発表後、5ヵ月半の時間経過を経て、08年4月3日、第三次試案が発表された。

 全体として、第二次試案より説明が詳しくなった。最も評価できる変更点は、病院からの届出だけではなく、遺族からの調査依頼が受け付けられるようになったことである。日本の医療は崩壊しかねない状況にあり、その最大の原因の一つが軋轢である。
 
 医療事故で患者が死亡したとき、遺族の理解と納得を高めて、軋轢を小さくすることが、何より求められる。このためには遺族の真相究明の希望を尊重して、調査と説明を行う必要がある。

 第三次試案全体として、第二次試案で現場医師から批判された文言が注意深く削除されるか、言い換えられていた。しかし、組織、届出義務化、届出範囲、再発防止、捜査機関への通知、個人の行政処分の拡大などの具体的な問題点についてはほぼ踏襲されていた。

 他に目立つこととして、医師法21条を改正すると明記されていた。医師法21条問題の発端は、2000年、厚生省の国立病院部政策医療課が、リスクマネージメントマニュアル作成指針に「医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合又はその疑いがある場合には、施設長は、速やかに所轄警察署に届出を行う」と記載し、医師法21条の解釈を変更したことにある。
 
 医師法21条は、変死体の医学的検索制度の整備と、厚労省の解釈ミスによる混乱解消のために、当然、改正すべきものであり、医療事故調問題との関連で議論すべきものではない。

 私は、04年ごろより、医療事故調問題について考え続けてきた。さまざまな立場の人たちと議論し、その中の何人かからは大きな影響を受けた。一つの考え方を一貫して持ち続けてきたわけではなく、軌道修正しながら現在に至っている。

 以下、医療事故調問題を考えるための枠組みと、第二次試案-自民党案-第三次試案を通しての懸念、私の提案について述べていく。

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