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「医療/公衆衛生×メディア×コミュニケーション」第7回
糸とマッチと新聞《2》
林英恵

2008/03/25

 前回は、インドのHIV/AIDSの状況、メディアや教育に関するターゲットとなる人たちのバックグラウンド、また、そのような中でどのようにヘルスコミュニケーションが展開されているのかについて書きました。その中で、ユニセフインド事務所が、いくつかある行動変容モデルのうちの1つを使用し、そのモデルに従って、予防啓発活動の戦略を構築しつつあることをお話しました。

 今回は、教育ということに焦点を当てて、具体的にどのような“メディア”(媒体)が使われているのかご紹介したいと思います。

【ユニセフのHIV予防教材セット】
 前回お話したとおり、インドでは、電気を使用するメディアや、読み書きの能力が必要なメディア(この場合は媒体という意味)は、限られたターゲットのみがアクセス可能となってしまいます。ですから、どの地域でも、誰にでも幅広く使える教材ということで、ユニセフキットが作られました。対象は、中学生から高校生です。

内容は、
・使用する地域の言語で書かれたテキストブック一式(教員・ファシリテーター用。紙)
・紙芝居
・性器の模型(コンドームの着用方法を実際に披露するため)
・男性・女性用コンドームそれぞれ
・3色の糸
・マッチ箱
・新聞紙
でした。

 このキット、そして、フィールドでの活動から学んだことは、教材は、伝えること、理解をしてもらうことを「助ける」ために使用されるもので、まず教材ありきになってはならないということ。そして、教材を使いこなせる先生や、ファシリテーターの技量で、教材の持つ力をさらにパワーアップさせることができるということでした。

【糸、マッチ箱、新聞の具体的な使用例】
 例えば、3色の糸は、一人との性交渉の裏に、どれだけの人の交わりがあるかということを目で見て伝えるために使います。人が輪になり(20から30人が理想的。しかし、人数が増えても糸が長めなため対応は可能)、毛糸のように丸められた長さ30メートルくらいの糸を、適当な人に向かって投げていきます。糸を誰かに投げたり、転がして渡したりという行為は、室内でするのに、割とエキサイティングで、参加者の集中を誘うのに役立ちます。3種の糸が輪になった何十人の間を飛び交い、最終的に、くもの巣のような糸と人の線ができます。

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