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最近話題のピロリ菌って何?
小早川雅男(国立国際医療センター消化器科) 

2008/03/25

ピロリ菌はいつ誰によって発見されたのでしょうか
 ピロリ菌はオーストラリアのマーシャルとウォレンによって1983年ヒトの胃の中から発見されました。その後、ピロリ菌がヒトの胃に与える様々な影響が解明され、2005年には発見者の二人に、「ピロリ菌とその胃炎・消化性潰瘍疾患における役割」に関する発見を理由にノーベル生理学・医学賞が授与されました。

●ピロリ菌はどこに生息するのでしょうか
 ピロリ菌は、主にヒトの胃に生息します。胃の中は胃酸により酸性に保たれていることから、他の細菌は生息することが出来ません。ピロリ菌はウレアーゼという酵素によりアンモニアを作ることで胃酸を中和し胃の組織と粘液の間に住み着いています。日本人の場合、約50%の人にピロリ菌が感染しています。高齢者ほど感染率が高く、若年者での感染率は低い傾向を示します。ピロリ菌は幼少時に口から感染し、成人となってから新たに感染することはほとんどないことから、幼少期の衛生環境がピロリ菌の感染率に影響していると考えられています。通常ピロリ菌が陽性と診断されれば、その人の年齢とほぼ同様の年月ピロリ菌の感染が持続していると考えられます。

●ピロリ菌が感染することで何が起こるのでしょうか。
 ピロリ菌は胃に感染することによって慢性活動性胃炎と呼ばれる持続性の炎症を引き起こします。この炎症が持続することによって、胃粘膜は次第に萎縮していきます。胃粘膜が萎縮することによって胃酸の分泌は減少します。胃粘膜の萎縮は簡単に言えば胃の老化現象と例えることができるでしょう。胃の老化現象はピロリ菌に感染していない胃にはほとんど起きません。多くの日本人の場合、ピロリ菌に感染すると年齢とともに胃の老化(萎縮)が進行します。老化のスピードは人によって様々ですが、強い炎症が続き、老化現象がより進んだ人では胃癌の発生リスクがより高くなることが判明しています。また、胃の老化(萎縮)が高度に進行すると、ピロリ菌にとっては逆に生息しにくい環境になり、菌数が減少あるいは消失することがあります。このような場合ピロリ菌が陰性と判定されても、実は最も胃癌のリスクが高いと言えることから注意が必要です。日本人の場合、ピロリ菌の感染の有無を厳密に調べると、全くピロリ菌に感染したことのない人に比べて胃癌のリスクは約10倍であることが判明しています。

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