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第7章●腹膜炎の初期治療
「手術中の腹水採取は意味がない」という意見には反対です
<OPARTS:議論テーマ>7-3 2次性腹膜炎・院内発症例や術後早期の例

2010/01/05
大曲 貴夫=静岡がんセンター感染症科

 感染症の診断を行うときには、検体を採取し起炎菌を特定するという方法が一般的です。例えば、手術中に腹水が溜まっているのを見つけた場合、それを採取して培養し、腹膜炎かどうかの診断を行おうとします。これは多くの先生方で共通する見解であり、普通に実践されていることだと思います。

 しかし私が知る限り、一部では「手術中の検体採取は意味がなく、腹水を採取しない」という意見があるようです。「培養の結果を待っている間に、外科的処置は終えられるため、腹水を採取するだけ無駄」ということのようです。

 当然ですが、手術が無事成功し、さらに腹膜炎の心配がなければそれに勝るものはないのですが、仮に手術に失敗した場合、次の一手を考えるときに腹水の培養結果が判断材料の1つになると考えています。

 この件について、あまり表立って議論されているのを見たことがありませんが、個人的には見過ごせない風潮だと思っています。ぜひみなさんからのご意見をお伺いできればと思います。

抗菌薬の止めどき

 また、2次性腹膜炎の治療において、抗菌薬の止めどきについて非常に多くの質問を受けます。個々のケースで対応が異なるため、マニュアル化することは非常に難しいのですが、ここでは判断基準の例の1つとして、過去の知見およびガイドラインの記載を参考に以下のように示しました。

●抗菌薬投与終了の目安
1)臨床症状の消失
2)白血球数が正常化している 
3)消化管機能が正常に復している
(Guidelines for the Selection of Anti-infective Agents for Complicated Intra-abdominal Infections,Clinical Infectious Diseases 2003, 37:997–1005)

 個人的には、これくらいしか書きようがないと思っていますので、この目安について賛成・反対のご意見をうかがいたいと思います。

Candidaのカバーについて

 最後に、「外科の先生が悩んでいる」とよく聞くのが、Candidaのカバーについてです。

特に院内発症例ではP.aeruginosa、MRSAなどの薬剤耐性菌や、Candidaが関与することが多い
⇒可能な限り検体を採取して微生物学的検査に提出し、その結果によって速やかに抗菌薬の追加や変更を行う!

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