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12月13~19日の話題になった論文
SARS-CoV-2感染者とワクチン接種者の心筋炎を調べた論文が話題に

2021/12/28

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 12月13~19日に最もツイート数が多かったのは、「Risks of myocarditis, pericarditis, and cardiac arrhythmias associated with COVID-19 vaccination or SARS-CoV-2 infection」(COVID-19ワクチンまたはSARS-CoV-2感染に関連する心筋炎、心膜炎、不整脈)の1万498件だった。これは英国Oxford大学の研究者らによるNature Medicine誌に掲載された論文だ。COVID-19ワクチン接種から28日後までの心筋炎、心膜炎、不整脈による入院と死亡の発生率を調べ、SARS-CoV-2陽性と判定された感染者の発生率と比較している。

 対象は、2020年12月1日から2021年8月24日までに英国でCOVID-19ワクチンの接種を受けた16歳以上の人。期間中に英国で少なくとも1回ワクチン接種を受けた人は、3861万5491人いた。内訳は、2061万5911人がAstraZeneca社のChAdOx1ワクチン、1699万3389人がPfizer/BioNTech社のBNT162b2ワクチン、100万6191人がModerna社のmRNA-1273ワクチンだった。同じ期間にSARS-CoV-2陽性と判定された感染者は302万8867人見つかった。ちなみに英国では、2021年4月7日から30歳未満の人に、5月7日からは40歳未満の人にChAdOx1ワクチンが推奨されなくなっている。また、mRNA-1273は高齢者の接種がほぼ終わった2021年4月から使用開始したため、若い人たちの接種割合が高くなっている。

 ワクチンの初回接種から28日間について、人口100万人当たりの心筋炎過剰発生件数を推定すると、ChAdOx1が2件(95%信頼区間0-3件)、BNT162b2が1件(0-2件)、mRNA-1273が6件(2-8件)だった。ワクチンの2回目接種では、過剰発生ありと推定されたのはmRNA1273のみで、100万人当たり10件(7-11件)だった。一方、SARS-CoV-2感染者の心筋炎過剰発生件数は100万人当たり40件(38-41件)で、ワクチン接種者の方が感染者よりも心筋炎のリスクは少ないと考えられた。年齢別のサブグループ解析では、mRNA-1273の2回目接種で心筋炎のリスクが増加していたのは、40歳未満の人のみだった。

 SARS-CoV-2感染者では心膜炎や不整脈のリスク増加も見られたが、ワクチン接種者ではこれらのリスク増加は観察されなかった。mRNA-1273の2回目接種のみが例外的に、不整脈のリスク増加が見られた。ただし不整脈のリスクもSARS-CoV-2感染者よりは低かった。


 今回注目した論文は小児科領域でツイート数の多かった「Changes in Weight-Related Outcomes Among Adolescents Following Consumer Price Increases of Taxed Sugar-Sweetened Beverages」(メキシコの砂糖入り飲料課税に伴う価格上昇は、青少年の肥満を減らしたか?)だ。

 メキシコでは2014年に砂糖入り飲料に対する課税が実施され、平均で小売価格が約10%上昇したそうだ。喫煙の例を見ると、日本では過去30年間にタバコの小売価格は大幅に増加し、これに伴うかのように5割を超えていた日本人男性の喫煙率は3割を切るレベルまで減少した。しかし、日本人女性の喫煙率は1割前後でほとんど変化がないようだ。では、砂糖入り飲料の値上げは、メキシコの青少年の健康に何らかの影響を与えたのだろうか?

 この研究では、課税による価格上昇前後数年間のメキシコの青少年の体重変化を調べている。対象は、メキシコの39都市に住む1999~2002年生まれの年齢10~18歳の青少年12654人(男子5804人、女子6850人)。平均年齢は11.38歳(標準偏差1.08歳)だった。2012~2017年の身体測定データからBMIを計算し、BMIが85パーセンタイル以上を肥満または過体重とした。

 砂糖入り飲料の価格上昇から2年以内に、肥満または過体重に該当する女子の絶対変化率は-1.3パーセンテージポイント(95%信頼区間-2.19から-0.36ポイント)、相対減少率は3%だった。男子ではこのような影響は観察されなかった。そのため、砂糖入り飲料の価格上昇は、女子の肥満有病率減少と関連が見られたが、効果はわずかだったと結論している。

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