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12月6~12日の話題になった論文
マスクの重要性を再確認した論文が話題に

2021/12/21

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 12月6~12日に最もツイート数が多かったのは、PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)の論文「An upper bound on one-to-one exposure to infectious human respiratory particles」(上限値の概念を用いてSARS-CoV-2に感染した人の呼気粒子に1対1で暴露した場合のリスクを評価する)の1万5485件だった。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を減らすために、マスクの着用とソーシャルディスタンスが有用なエビデンスはたくさんある。しかし、空気感染を仮定した場合は、1対1暴露時の伝播様式が複雑になるため、飛沫感染に比べ感染対策の予防効果を定量化することは難しい。感染リスクの算出には、呼気中の粒子サイズの分布、物理的な呼気流量、様々なタイプのマスクからの漏れ、蒸発による粒子サイズの収縮、水分補給、吸入性、感受性気道への沈着といった要因を考慮する必要がある。この研究では、上限値の概念を導入して、感染リスクのシミュレーションを行っている。

 その結果、マスクの有効性を裏付ける推定データが得られた。例えば、3.0mのソーシャルディスタンスを取ってもマスクを使用しない場合は、数分後には感染リスクの上限値が90%に達した。一方、感受性者がサージカルマスクをしていた場合は、距離が1.5mでも上限値が90%に達するには約30分を要した。さらにFFP2マスク(欧州の規格で微粒子濾過率94%以上、米国規格のN95マスクとほぼ同等)を使用すると、1時間後でも上限値は20%にとどまった。また、会話をする感染者と感受性者が2人ともサージカルマスクをしていた場合は、1時間後でも上限値は30%未満で、2人ともFFP2マスクをしていた場合の上限値は0.4%だった。そのため著者らは、マスク使用の重要性を改めて強調している。


 12月第2週は、内科領域でツイート数が1万件を超えた論文がもう1本あったので、そちらも簡単に紹介する。Lancetの論文「Efficacy, safety, and lot-to-lot immunogenicity of an inactivated SARS-CoV-2 vaccine (BBV152): interim results of a randomised, double-blind, controlled, phase 3 trial」(インドのSARS-CoV-2不活化ワクチンBBV152の第3相臨床試験の中間解析結果)で、ツイート数は1万933件だった。

 インドBharat Biotech社のワクチンBBV152は、インドの患者から分離されたSARS-CoV-2(NIV-2020-770株)を不活化したウイルス全粒子ワクチンだ。この株はスパイク蛋白の614番目のアミノ酸がアスパラギン酸からグリシンに置換した変異を持っている。アジュバントとして、ミョウバンに吸着させたtoll様受容体7/8アゴニスト分子(Algel-IMDG)を配合している。有効性の主要評価項目は、BBV152の2回目接種から14日後以降の症候性COVID-19とし、発症予防効果をプラセボ群と比較した。

 2020年11月16日から2021年1月7日までに、2万4419人が試験に参加し、BBV152群1万2221人とプラセボ群1万2198人にランダムに割り付けた。このうち、1万6973人はワクチンの初回接種前は抗体陰性だったことを確認した。14日後以降のCOVID-19の発症者は130人で、BBV152群8471人中24人(0.3%)とプラセボ群8502人中106人(1.2%)だった。ワクチンの有効性は77.8%(95%信頼区間65.2-86.4%)と推定された。有害事象の報告は、BBV152群もプラセボ群も12.4%で、群間差はなかった。アナフィラキシーや死亡例は発生しなかった。そのため、臨床試験でワクチンの有効性が確認され、中間解析の段階では懸念される有害事象はなかったと結論している。

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