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11月8~14日の話題になった論文
バレニクリンはドライアイ治療にも有効!?

2021/11/23

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 11月8~14日に最もツイート数が多かったのは、NEJM誌の論文「Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age」(5~11歳の小児に対するBNT162b2ワクチンの評価)で、8328件だった。Pfizer/BioNTech社のワクチンBNT162b2は、2020年12月から使用されているが、米国FDAが許可した当初の接種対象年齢は16歳以上だった。その後に12~15歳に対する臨床試験が追加され、16~25歳の試験データと比較して有効性が劣らないことから、米国では2021年5月から対象年齢が12歳まで引き下げられた。この研究は、さらに年齢範囲を拡大し、5歳以上の小児もワクチンを接種できるようにするために、追加された臨床試験だ。

 5~11歳の小児48人を対象に行われた第1相臨床試験では、ワクチンの用量を10μg、20μg、30μgの3通り準備して、各16人に接種した。その結果、10μgでも十分な免疫反応が得られると判断され、それ以後の試験は10μgで実施することにした。第2/3相臨床試験では、2268人の小児を2対1の割合で、ワクチン群1517人とプラセボ群751人に割り付けた。2回目の接種から1カ月後のワクチン群の幾何平均抗体価を、既に実施した16~25歳の臨床試験データと比較すると、率比は1.04(95%信頼区間0.93-1.18)となり、非劣性が示された。2回目の接種から7日後以降のCOVID-19発症者は、ワクチン群3人とプラセボ群16人で、発症予防の有効性は90.7%(67.7-98.3%)だった。

 これらの結果から著者らは、21日間隔でBNT162b2ワクチン10μgの2回接種は、5~11歳の小児にも安全で有効だったと結論している。この研究結果を受けて、Pfizer/BioNTech社は日本でも5~11歳の小児に対する承認を申請している。


 今回着目した論文は眼科領域でツイート数の多かった「Efficacy and Safety of OC-01 (Varenicline) Nasal Spray on Signs and Symptoms of Dry Eye Disease: the ONSET-2 Phase 3, Randomized Trial」(バレニクリン鼻腔スプレーの第3相臨床試験:ドライアイ患者の症状緩和に対する有効性と安全性)だ。バレニクリン(商品名チャンピックス)というと禁煙指導に使われる薬というイメージが強く、他の目的で臨床試験が行われていること自体あまり話題にされていなかったため、意外性のある研究だった。

 バレニクリンは、高い選択性を持つニコチン性アセチルコリン受容体作動薬だ。脳内にあるα4β2ニコチン受容体に作用して少量のドパミンを放出し、禁煙に伴うイライラ感や喫煙の欲求を軽減する作用があることから禁煙補助薬として承認されている。一方、バレニクリンの標的になるニコチン性アセチルコリン受容体は、鼻腔内の三叉神経にも存在する。そのため鼻腔内にバレニクリンを投与すると、活性化された受容体が涙腺機能ユニットを刺激し、涙を分泌させる作用が期待できるそうだ。

 この試験では、ドライアイと診断された年齢22歳以上の患者758人を対象に、1対1対1の割合でバレニクリン0.6mg/mL群、1.2mg/mL群、プラセボ群にランダムに割り付けた。割り付け薬は鼻腔内スプレーで1日2回、各鼻腔に50μLずつを4週間噴霧した。主要評価項目は、涙の分泌量を調べるシルマー試験の結果が10mm以上に改善した患者の割合とした。

 4週後にシルマー試験で10mm以上を達成した患者の割合は、バレニクリン0.6mg/mL群47.3%、1.2mg/mL群49.2%、プラセボ群27.8%で、バレニクリン群はプラセボ群より達成者の割合が有意に多かった。報告された有害事象はほとんどが軽微で、頻度が高かったのはくしゃみ、咳、喉の炎症、鼻腔内の炎症などだった。これらの結果から著者らは、バレニクリンの鼻腔内スプレーは、ドライアイ患者の症状緩和に役立つと結論している。

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