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10月11~17日の話題になった論文
医療従事者のブレイクスルー感染を調べた研究が話題に

2021/10/26

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 10月11~17日に最もツイート数が多かったのは、NEJM誌の論文「Covid-19 Breakthrough Infections in Vaccinated Health Care Workers」(医療従事者39人のブレイクスルー感染と中和抗体価)で1万708件だった。これはイスラエルの大規模医療施設Sheba Medical Centerで、 BNT162b2ワクチンの接種を完了した医療従事者1万1453人を対象に、ブレイクスルー感染を追跡した研究だ。

 同センターでは2回目のワクチン接種後11日目から追跡を始め、質問票や電話のホットライン、暴露機会のあった医療従事者の調査などから、COVID-19に関連した症状が現れた従業員を拾い上げる対策を行い、感染疑い患者にはRT-PCR検査などを実施した。2021年1月20日から4月28日までに、1497件のPCR検査の結果から、39人がブレイクスルー感染を起こした患者と判定した。大半の患者は軽症か無症候性だったが、症状が6週間以上持続した患者も19%いた。患者の85%はアルファ株による感染だった。なお、ブレイクスルー感染患者からの2次感染は報告されていない

 対照群として、ブレイクスルー患者と年齢・性別・2回目の接種からの間隔がマッチする医療従事者を4~5人選び、シュードウイルスを用いた中和抗体価を比較した。対照群と比べた患者の中和抗体価比率は0.361(95%信頼区間0.165-0.787)で、ブレイクスルー感染を起こした時期に、患者の中和抗体価は他の従業員よりも下がっていた。


 今回注目した論文は、産婦人科領域でツイート数の多かった「Newborns passive humoral SARS-CoV-2 immunity following heterologous vaccination of the mother during pregnancy」(妊娠中の母親が異なるワクチン[初回はAZD1222で2回目はmRNAワクチン]接種を受けた新生児[臍帯血]の受動的体液性SARS-CoV-2免疫)だ。ドイツのJena大学病院で行われた研究で、妊婦3人と対照群の女性25人を対象にした非常に小規模な研究だが、異なるワクチンを使用したことと、分娩時に臍帯血を調べ、母親が獲得した免疫が新生児を守るかについて言及した点が興味深い。

 ドイツでは、3種類の SARS-CoV-2ワクチン(Pfizer/BioNTechのBNT162b2、ModernaのmRNA-1273、AstraZenecaのAZD1222)が使用を許可され、ワクチン接種が進められていたが、途中でガイドラインが変更され、60歳未満の人にはAZD1222が推奨されなくなった。そのため、1回目はAZD1222を受けたが、2回目はBNT162b2またはmRNA-1273を受けることになった人たちが発生した。そこで異なるワクチンでも2回目の接種後に、同じワクチンの2回接種と同様の免疫が得られるかが調べられた。この研究は、異なるワクチンを接種した妊婦でも、抗体価が上がるかどうかを確認したものだ。

 その結果、妊婦からも対照群の女性と遜色ないレベルのSARS-CoV-2スパイク蛋白に対するIgG抗体が検出された。SARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白に対する抗体価は上がっていないため、自然感染による抗体でなくワクチンによる抗体誘導と判定された。臍帯血の検査でも妊婦と同じレベルのIgG抗体が検出されたため、受動的体液性免疫は新生児を守ることが示唆されたと結論している。

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