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9月6~12日の「話題になった論文」
COVID-19患者に回復期血漿を投与した論文に注目集まる

2021/09/21

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 9月6~12日に最もツイート数が多かったのは、Nature Medicine誌の論文「Convalescent plasma for hospitalized patients with COVID-19: an open-label, randomized controlled trial」(COVID-19入院患者に対する回復期血漿:オープンラベルのランダム化比較試験)で3572件だった。

 カナダ、米国、ブラジルの72病院が参加したCONCOR-1試験は、症状発症から12日以内のCOVID-19入院患者を、2対1の割合で回復期血漿と標準治療に割り付けるオープンラベルのランダム化比較試験だ。組み入れ対象は、年齢18歳以上(カナダは16歳以上)でCOVID-19の診断が確定している、酸素療法が必要な入院患者。ABO式血液型が一致する回復期血漿が利用可能であることも条件だ。挿管が必要な患者や血漿輸血の禁忌に該当する患者は除外している。主要評価項目は、30日後までの挿管と患者死亡のどちらかに該当した場合とした。

 この試験は当初1200人の患者を組み入れる試験デザインだったが、中間解析の結果が打ち切り基準に該当したため、2020年5月14日から2021年1月29日まで、940人をランダム割り付けした時点で中止が決定した。その結果、挿管または死亡に該当したのは回復期血漿群の614人中199人(32.4%)と、標準治療群307人中86人(28.0%)で、相対リスクは1.16(95%信頼区間0.94-1.43)だった。一方、重篤な有害事象は回復期血漿群33.4%と標準治療群26.4%で、相対リスクは1.27(1.02-1.57)だった。そのため、回復期血漿の投与は、COVID-19患者の挿管や死亡を減らす効果は認められなかったと結論している。また、輸血に使われた回復期血漿のプロファイルが好ましくない場合、かえって有害なアウトカムをもたらす可能性もあるとしている。

 今回注目した論文は、精神科領域でツイート数の多かった「Effect of Online 1-Day Cognitive Behavioral Therapy-Based Workshops Plus Usual Care vs Usual Care Alone for Postpartum Depression」(認知行動療法ベースのオンライン1日ワークショップを併用すると、産後うつのケアに効果があるか?)だ。出産を経験した母親は、最大で20%が産後うつを経験する可能性があると言われている。そこへCOVID-19パンデミックが起こったために、母親たちは通常よりもさらに専門家や家族の支援を受けにくくなっている。オンラインの1日ワークショップで、この状況を改善できるならば、有効な産後うつ対策になる可能性がある。

 著者らはカナダのオンタリオ州で試験参加者を募集した。条件は、年齢18歳以上、生後12カ月未満の乳児がいる母親で、Edinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)スコアが10以上で産後うつの可能性が高いと判定された女性だ。介入群の女性は、通常のケアに加えて、認知行動療法に基づく1日のオンラインワークショップを受講することとした。プログラムは精神科医、心理療法士、臨床心理学大学院生が担当した。一方、対照群の女性は、同じプログラムを12週間後に受講するまで待機することにした。主要評価項目は、ベースラインから12週間後の両群のEPDSスコアの変化とした。副次評価項目として、全般性不安障害質問票(GAD-7)、産後ボンディング質問票、乳児行動質問票改訂版Very Short Form、社会的規定尺度なども評価した。

 403人の女性が試験に参加し、介入群202人と対照群201人にランダムに割り付けられた。参加者の平均年齢は31.8歳(標準偏差4.4歳)だった。介入群のEPDSスコア平均値は、ベースラインの16.47から12週後の11.65に減少していた。対照群と比較した臨床的に有意なスコア低下を示すオッズ比は4.15(95%信頼区間2.66-6.46)だった。副次評価項目も介入群で有意な改善が見られたことから、認知行動療法に基づく1日のオンラインワークショップは、産後うつの有効な支援になり得ると著者らは結論している。

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