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8月30日~9月5日の「話題になった論文」
不活化ワクチンの有効性を報告したチリの研究が再び注目を集める

2021/09/14

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 8月30日~9月5日に最もツイート数が多かったのは、「Effectiveness of an Inactivated SARS-CoV-2 Vaccine in Chile」(チリにおける不活化SARS-CoV-2ワクチンの有効性)で1万6150件だった。NEJM誌2021年9月2日号に収録されたこの論文は、同誌の電子版で7月に公開されていたため、本コラムでも既に取り上げている。

 チリでは2021年2月からワクチン接種キャンペーンを進めており、2月2日から5月1日までに約1020万人が中国シノバック社製の不活化ワクチン「CoronaVac」の接種を受けた。2回目の接種から14日以上経過した人に対するワクチンの有効性は、COVID-19の発症予防が65.9%(95%信頼区間65.2-66.6%)、COVID-19による入院の予防が87.5%(86.7-88.2%)、ICU入院の予防が90.3%(89.1-91.4%)、COVID-19関連死亡の予防が86.3%(84.5-87.9%)だったと報告している。

 今回注目した論文は、外科領域でツイート数の多かった「The Early (2009-2017) Experience With Robot-assisted Cholecystectomy in New York State」(ニューヨーク州における導入初期[2009~17年]のロボット支援胆嚢摘出術の評価まとめ)だ。この研究では、米国ニューヨーク州の入院・外来手術データを用いて、ロボット支援胆嚢摘出術の初期成績を評価している。

 同州では2009~17年に成人の低侵襲胆嚢摘出術が29万9306件行われていた。このうち1118件(0.4%)がロボット支援手術(RAC)で、残りは腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を受けていた。LCを受けた患者に比べると、RACを受けた患者は年齢が高く、手術のための移動距離が長く、公的保険に加入している可能性が高く、術前の併存疾患も多かった。RAC患者とLC患者の比較では、開腹手術への変更(4.9%と2.8%)、1年以内の胆管損傷診断(1.3%と0.4%)、入院期間の中央値(3日と1日)、再入院(7.3%と4.3%)、などの差が有意だった。

 交絡因子を補正して両群の手術成績を比較するために、年齢・性別・人種・保険の種類・術前の併存疾患・Elixhauser Indexについて傾向スコアがマッチする組み合わせを選び出した。その結果、RAC群の開腹手術への変更の調整オッズ比は1.69(95%信頼区間1.28-1.73)、胆管損傷の調整オッズ比は2.75(1.55-4.88)、30日後までの術後合併症は1.49(1.28-1.73)、再入院が1.40(10.9-1.79)などだった。これらの結果から著者らは、ニューヨーク州のデータでは、RACは費用が高い上にLCよりも術後合併症が多く、成績を改善する工夫が必要だと結論している。

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