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8月16~22日の「話題になった論文」
SARS-CoV-2感染小児から家庭内の2次感染を調べた論文に注目集まる

2021/08/31

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 8月16~22日に最もツイート数が多かったのは、小児科領域の「Association of Age and Pediatric Household Transmission of SARS-CoV-2 Infection」(SARS-CoV-2の家庭内感染と小児の年齢)で、4415件だった。この研究は、SARS-CoV-2の家庭内感染に小児が果たす影響の大きさを年代別に検討したもの。パンデミックの初期には小児の患者数が少なかったことから、あまり調べられていなかったテーマの1つだ。全国で新規感染者数が増えている状況下で夏休みが終わったら、学校への通学を再開すべきかが問題になっている時期だけに、感染した小児が家庭内に感染を広げるリスクを調べた研究が注目を集めたものと考えられる。

 著者らは、2020年6月1日~12月31日までカナダのオンタリオ州で住民ベースのコホート研究を行った。年齢18歳未満の小児が家庭内で最初にSARS-CoV-2に感染した発端患者になった場合を対象に、2週間以内に家庭内で2次感染が起こったかどうかを調べた。発端患者の小児の年齢は、0~3歳、4~8歳、9~13歳、14~17歳の4グループに分類した。

 対象になった6280世帯のうち、家庭内で2次感染が起きていたのは1717世帯(27.3%)だった。発端患者の平均年齢は10.7歳(標準偏差5.1歳)、2863人(45.6%)が女児だった。14~17歳のグループと比較して、2次感染のオッズ比が最も高かったのは0~3歳の1.43(95%信頼区間1.17-1.75)だった。以下4~8歳が1.40(1.18-1.67)、9~13歳は1.13(0.97-1.32)だった。これらの結果から著者らは、家庭内で感染を広めやすいのは、学校に通う年長の小児よりも、0~3歳だったと結論している。

 2番目に多かったのが内科領域の論文「Early Convalescent Plasma for High-Risk Outpatients with Covid-19」(救急外来を受診したCOVID-19ハイリスク患者への回復期血漿投与は進行を抑制しない)の2139件だった。511人のCOVID-19患者を、257人の回復期血漿群と254人のプラセボ群に割り付け、症状の進行悪化状態を比較したが、リスク差1.9パーセンテージポイント(95%信頼区間-6.0から9.8ポイント)で有意差がなかった。残念な結果だけにツイート数が少なかったのかもしれない。

 今回注目した論文は、眼科領域の「Glucagon-like peptide 1 receptor agonist use is associated with reduced risk for glaucoma」(GLP-1受容体作動薬は緑内障のリスク減少と関連する)だ。2型糖尿病の治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬が、血糖コントロールを良好にして、代表的な合併症である糖尿病網膜症のリスクを減らすなら何の不思議も感じないが、緑内障のリスクを減らすという研究に着眼点の新しさを感じた。緑内障のモデルマウスを用いた基礎研究で、GLP-1受容体作動薬が網膜の神経炎症やグリア細胞の活性化を抑える作用が報告されたそうだ。

 この研究が採用した方法は、保険償還データを用いたコホート研究だ。GLP-1受容体作動薬を用いて新たに2型糖尿病治療を始めた患者と、他のクラスに分類される薬で糖尿病治療を開始した患者の中から、逆確率重み付け法で年齢や性別などの条件をマッチングさせた対照群を1対3の割合で選び出した。その上で新たに緑内障を発症した患者の割合を比較している。その結果、GLP-1受容体作動薬群1961人中10人(0.51%)と他の治療薬群4371人中58人(1.33%)が緑内障と診断されていた。ハザード比は0.56(95%信頼区間0.36-0.89)だった。

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