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8月9~15日の「話題になった論文」
「胆嚢摘出術で痛みがなくなる胆石患者を予測するツール作成の試み」が外科分野で話題に

2021/08/24

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 8月9~15日に最もツイート数が多かったのは、電子版で購読できたため、既に本コラムでも紹介した「Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant」(B.1.617.2系統[デルタ株]に対するCOVID-19ワクチンの有効性)で2万2402件だった(関連記事:ワクチン2回接種完了者を増やす作戦はデルタ株にも有効)。論文はNEJM誌の8月12日号に収録された。英国でB.1.1.7系統(アルファ株)が感染の主流となり、 B.1.617.2系統(デルタ株)が広がり始めた時期に調査を行い、Pfizer/BioNTechのBNT162b2ワクチンとAstraZenecaのChAdOx1 nCoV-19のワクチンの効果を調べた論文だ。どちらのワクチンも1回接種しただけでは、デルタ株はもちろんアルファ株に対する効果も低いが、2回接種してから14日後以降には有効性が高くなる。デルタ株に対する有効性はBNT162b2が88.0%、ChAdOx1 nCoV-19は67.0%と推定している。

 今回注目した論文は、外科分野で最もツイート数が多かった「A Clinical Decision Tool for Selection of Patients With Symptomatic Cholelithiasis for Cholecystectomy Based on Reduction of Pain and a Pain-Free State Following Surgery」(腹痛がある胆石患者が胆嚢摘出術を受けるべきかの決定を支援する臨床診断ツール)だ。

 合併症のない胆石患者の場合、誰が胆嚢摘出術を受けるべき患者に該当するのか、要件の明らかなコンセンサスはない。オランダで行われたこのコホート研究では、胆嚢摘出術を受けて術後に痛みがなくなった患者、臨床的に意義のある痛みの軽減を報告した患者の特性を調べ、多変量解析で疼痛軽減の独立した予測因子を突き止め、手術を受けた方が良い患者を選べるように臨床判断ツールを作成しようという試みだ。

 組み入れ対象は、2014年4月から2019年6月までにオランダの25病院を受診した胆石症患者1561人。このうち7病院の494人を予測モデルの開発コホートに、24病院の1067人をモデルの検証コホートに割り当てた。開発コホートでは395人(80.0%)が胆嚢摘出術を受けており、225人(57.0%)が「痛みがなくなった」と報告した。また295人(74.7%)が意義のあるレベルの痛みの軽減を達成した。疼痛軽減の予測因子として、年齢の増加、腹部手術歴がないこと、ベースラインでの疼痛スコアが高いこと、痛みが背中に放散すること、鎮痛剤を使用すると軽減効果が得られること、吐き気や胸焼けがないこと、が候補に挙がり、著者らはこれらの因子を組み合わせた予測モデルを作成した。検証コホートにモデルを適用して、手術で痛みが軽減する患者と意義あるレベルの軽減が得られない患者の識別能力を調べたところ、C統計量は0.74:95%信頼区間0.70-0.78だったと報告している。

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