日経メディカルのロゴ画像

7月5~11日の「話題になった論文」
チリ国民に対する中国の不活化ワクチン「CoronaVac」の有効性

2021/07/20

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 7月5~11日に最もツイート数が多かったのは、南米のチリで2021年2月から開始されたワクチン接種キャンペーンの約3カ月間の成果を報告したNEJM誌の論文「Effectiveness of an Inactivated SARS-CoV-2 Vaccine in Chile」で8619件だった。このキャンペーンで使われたのは中国シノバック社製の不活化ワクチン「CoronaVac」で、中国で第1/2相臨床試験を行った後、ブラジル、チリ、インドネシア、トルコで第3相臨床試験が実施された。この試験での有効性は、ブラジル50.7%、インドネシア65.3%、トルコ83.5%と国によって異なっていたため、チリで実際に一般国民を対象に接種を進めた場合の有効性が注目されていた。

 2021年2月2日から5月1日までに、チリでは約1020万人がCoronaVacの接種を受けた。2回目の接種から14日以上経過した人に対するワクチンの有効性は、COVID-19の発症予防が65.9%(95%信頼区間65.2-66.6%)、COVID-19による入院の予防が87.5%(86.7-88.2%)、ICU入院の予防が90.3%(89.1-91.4%)、COVID-19関連死亡の予防が86.3%(84.5-87.9%)だったと報告している。

 今回注目した論文は、小児科分野で最もツイート数が多かった「Association of Rotavirus Vaccines With Reduction in Rotavirus Gastroenteritis in Children Younger Than 5 Years」(5歳未満の小児に対するロタウイルスワクチンはロタウイルス胃腸炎を減らしたか?:系統的レビューとメタアナリシス)だ。ロタウイルスワクチンは、わが国ではグラクソ・スミスクラインの「ロタリックス」(1価)とMSDの「ロタテック」(5価)の2種類が承認されている。どちらも経口接種する生ワクチンで、2020年10月から定期接種の対象になっている。この研究では20件のランダム化比較試験と38件のケース・コントロール研究を抽出してメタアナリシスを行い、ワクチン接種の有無によるロタウイルス胃腸炎(RVGE)の発症、RVGEによる入院、安全性(重度の有害事象、腸重積、死亡率)を比較している。

 ロタリックスの2回接種を完了した小児がRVGEを発症する相対リスクは0.316(95%信頼区間0.224-0.345)、入院の相対リスクは0.347(0.279-0.432)と、未接種者に対するリスク減少が見られた。またロタテックの3回接種を完了した小児でも同様に、RVGEの相対リスクは0.350(0.275-0.445)、入院の相対リスクは0.272(0.197-0.376)となっていた。このほかに、わが国では承認されていないロタウイルスワクチンでも相対リスクの減少が見られている。また、重度の有害事象のリスク増加は見られなかった。このため小児へのロタウイルスワクチンは世界的に導入することが推奨されるが、どのワクチンがお勧めかについては、製品同士を直接比較した研究が必要だとしている。

連載の紹介

Twitterで話題の「今週の論文」
毎週、新たに発表される論文をTwitterでのコメント数からランキング。自分の専門領域外でどのような論文が話題になっているか、チェックしてみてください。

この記事を読んでいる人におすすめ