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6月21~27日の「話題になった論文」
2種類の異なるワクチンを使っても抗体価は上がりそう

2021/07/06

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 6月21~27日に最もツイート数が多かったのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンに関するテーマで、多くの人が一度は思いつくであろう疑問、「2種類の異なるワクチンを接種したらCOVID-19に対する予防効果はあるのか?」に答えようとした研究だ。Lancet誌に掲載された「Immunogenicity and reactogenicity of BNT162b2 booster in ChAdOx1-S-primed participants (CombiVacS): a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 2 trial」がそれで、ツイート数は7561件だった。

 スペインで行われたこの研究は、1回目にAstraZeneca社のChAdOx1-Sワクチンを接種した患者を対象に、2対1の割合で、2回目にPfizer/BioNTech社のBNT162b2ワクチンを使用する患者とプラセボ群にランダムに割り付け、2回目の接種から14日後の有効性と安全性を比較した第2相臨床試験だ。有効性は、SARS-CoV-2スパイク蛋白3量体や受容体結合ドメインに結合するIgG抗体価、シュードウイルスを用いた中和抗体価、INF-γを測定する細胞性免疫などを調べている。その結果、ベースラインに比べて抗体価が大幅に増加しており、有害事象も同じワクチンを2回使用した時と同様であるため、受け入れられる結果だと結論している。

 今回注目した論文は、耳鼻咽喉科分野で最もツイート数が多かった「Association of COVID-19 Vaccination and Facial Nerve Palsy」(SARS-CoV-2ワクチン接種と顔面神経麻痺の関連を調べる研究)だ。末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)は、SARS-CoV-2ワクチン接種後に報告された有害事象の1つだ。しかし、ワクチンと関連のある副反応なのか、たまたま接種後に診断された患者がいただけなのかを区別するエビデンスは、まだほとんどない。そこで、世界の中でもBNT162b2ワクチンの接種率が高い、イスラエルのデータで検討を試みた研究がこの論文だ。

 この症例対照研究では、2021年1月1日から2月28日までにイスラエルの三次医療センターを受診して、顔面神経麻痺で入院した患者(37人)と、その他の原因で入院した患者の中から年齢・性別・入院日をマッチさせた対照群(74人)を選び出している。最近ワクチン接種を受けていた人の割合は、患者群では21人(56.7%)、対照群では44人(59.5%)で、ワクチン接種による顔面神経麻痺の調整オッズ比は0.84(95%信頼区間0.37-1.90)となった。著者らは、今回の分析ではBNT162b2ワクチンと顔面神経麻痺には、有意な関連は見られなかったと結論している。

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