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5月31日~6月6日の「話題になった論文」
SARS-CoV-2感染後の手術タイミングはいつが良いか?

2021/06/15

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 5月31日~6月6日に最もツイート数が多かった論文は、NEJM誌6月3日号に収録された「Thrombotic Thrombocytopenia after ChAdOx1 nCov-19 Vaccination」だった。この論文は4月に電子版で公開されたため、日経メディカルOnlineでも既に紹介している(ワクチン接種後の血栓症はヘパリン起因性血小板減少症か?)。ドイツとオーストリアでAstraZeneca社製のワクチンChAdOx1 nCov-19接種を受けた後で、血栓症または血小板減少症を起こした医療従事者11人の臨床データと、死亡した患者の解剖データを検討した論文だ。血栓症の原因はヘパリン起因性血小板減少症と同じメカニズムだと推定している。

 今回注目した論文は、麻酔科分野の「Timing of surgery following SARS-CoV-2 infection: an international prospective cohort study」(SARS-CoV-2感染後の手術タイミングはいつが良いか?:術後30日死亡率と呼吸器合併症を減らすために望ましい待機期間を探る国際コホート研究)だ。この研究では、世界の116カ国で2020年10月に待機的手術と緊急手術を受けた患者14万231人を対象に、SARS-CoV-2感染後の手術死亡リスクを検討している。対象者のうち、手術前にSARS-CoV-2感染と診断された患者は3127人(2.2%)いた。SARS-CoV-2感染歴がない患者では、交絡因子を補正した術後30日死亡率は1.5%(95%信頼区間1.4-1.5%)だった。これに対して術前に感染が診断された患者は、診断日から手術までの期間が0~2週間の場合、死亡率のオッズ比が4.1(3.3-4.8)、3~4週間の場合3.9(2.6-5.1)、5~6週間の場合は3.6(2.0-5.2)だった。一方、感染の診断から7週間以上経過してから手術を受けていた患者のオッズ比は1.5(0.9-2.1)となり、感染歴のない患者の死亡リスクとほぼ同様に落ち着いた。従って、待機手術は可能なら7週間以上経過してから行うのが望ましいとしている。

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