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5月24~30日の「話題になった論文」
SARS-CoV-2ウイルスのRNAは逆転写されてヒトゲノムに取り込まれる?

2021/06/08

 本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 5月17~23日に最もツイート数が多かったのは、非常に興味深い仮説について検討しているPNAS誌の論文「Reverse-transcribed SARS-CoV-2 RNA can integrate into the genome of cultured human cells and can be expressed in patient-derived tissues」で、件数は8849件だった。COVID-19から回復した患者が、その後のPCR検査で再び陽性になるケースは多く報告されているが、これらの患者の一部は真の再感染ではなく、感染力のあるウイルスを排出していない。著者らはこの原因として、ウイルスのRNAから逆転写されたDNAが、ヒトの細胞の中でゲノムの一部に取り込まれており、取り込み部分が転写されることで患者のPCR検査結果が陽性になってしまうという仮説を考えて、検証を試みている。著者らは、SARS-CoV-2に感染させたヒトの培養細胞や、患者由来の組織サンプルのDNAを調べることにより、この現象はLINE-1レトロトランスポジション機構が仲介しているようだと報告している。

 今回注目したのは、オーストラリアのシドニー大学の研究者による救急分野の論文で「Understanding overuse of diagnostic imaging for patients with low back pain in the Emergency Department: a qualitative study」(腰痛で救急部門を受診した患者の過剰な腰椎画像撮影を減らすための定性的な研究)だ。わが国の研究でも、腰痛を訴えて受診した患者の約85%は非特異的腰痛に分類され、画像診断で痛みの原因になる異常所見が見つからないとされている。この研究では、救急部門を受診した腰痛患者に画像診断を行ってしまう要因として、患者自身が撮影に関する意思決定に参加していない、検査で異常が見つかり原因が分かることに対する過剰な期待、診断が遅れてしまうことに対する医師の抵抗感、保険会社など第三者的な画像診断への要望、などを挙げている。

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