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NEJM誌から
潰瘍性大腸炎の寛解導入と維持療法にozanimodが有望
中等症から重症の患者を対象にプラセボと比較した第3相臨床試験

 米国California大学SanDiego校のWilliam J. Sandborn氏らは、中等度から重度の潰瘍性大腸炎(UC)患者に対して、選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬のozanimodを投与する第3相臨床試験を行い、この薬が寛解導入や維持療法に有効だったと報告した。結果は2021年9月30日のNEJM誌に掲載された。

 潰瘍性大腸炎は、免疫反応の調節異常と慢性炎症を特徴とする。アミノサリチル酸製剤は、中等症までの患者には効果を示すが、重症患者には有効ではない。ステロイドは、長期投与すると有害事象が起こりやすく、維持療法としては推奨されない。近年では、生物製剤やヤヌスキナーゼ阻害薬も使用可能になったが、すべての患者に有効ではなく、使用期間が長引くにつれて効果が低下する可能性がある。さらに感染リスクの上昇や輸注反応、癌リスクの上昇も懸念される。

 ozanimodは、S1P受容体のサブタイプ1と5に強い親和性を持ち、リンパ球が炎症部位に移動するのを防ぐ作用がある。この薬を中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者に用いた第2相臨床試験では、内視鏡的、組織学的、臨床的にプラセボ群よりも有効だった。別の臨床試験ではクローン病患者に対するozanimodの利益が示されている。健常人のボランティアも含め、ozanimodを投与された患者は4000人を超えているが、安全性が懸念される重大な問題は報告されていない。

 そこで著者らは、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者に対する寛解導入療法と、維持療法に用いた場合のozanimodの有効性を評価する第3相臨床試験True Northを実施することにした。True Northはプラセボを対照群とする二重盲検のランダム化比較試験で、30カ国の285施設が参加した。

 組み入れ対象は、年齢18~75歳で中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者。重症度の規定は、Mayoスコアの合計が6から12で、内視鏡所見のサブスコアが2以上、直腸出血サブスコアが1以上、排便頻度サブスコアが1以上とした。Mayoスコアは、内視鏡所見、排便頻度、直腸出血、医師による全般的評価の4項目について0~3の4段階で評価する。スコアの合計は0~12の範囲となる。

 試験の手順は、最長で5週間のスクリーニング期間を設けた後にランダム割り付けを行って、10週間の寛解導入治療を行う。コホートは2つ設定し、コホート1では参加者を2対1の割合で、ozanimod群とプラセボ群に割り付ける。参加者はozanimod塩酸塩の経口薬1mg(ozanimod0.92mg相当)またはプラセボを1日1回内服する。徐脈が現れるリスクを考慮して、服用開始当初の1~4日目までは0.25mg、5~7日目は0.5mgと1週間の増量期間を設けた。それ以後は1mgを継続した。

 コホート1で以前にTNF阻害薬を使用したことがある患者の割合が30%に達したら、それ以後のTNF阻害薬経験者はコホート2に組み入れることにした。コホート2はオープンラベルで、コホート1と同様に1日1回ozanimodを服用した。TNF阻害薬の未使用者は、引き続きコホート1に組み入れた。

 アミノサリチル酸やステロイドを使用している患者は、スクリーニングの内視鏡検査を受ける前に少なくとも2週間、用量を一定に保つよう依頼された。そして寛解導入療法の期間中も同じ用量を継続することとした。維持療法の試験に移行してからは、ステロイドを徐々に減量することとした。また水痘帯状疱疹ウイルスに対するIgG抗体の検査結果があるか、ランダム割り付けの少なくとも30日前に水痘帯状疱疹ワクチンを接種することとした。

 10週間の寛解導入期間が終了した時点で、コホート1と2の参加者のうち、ozanimodに臨床的な反応を示した患者を維持療法の試験に組み入れた。臨床的な反応の定義は、Mayoスコアの合計が3ポイント以上改善、かつベースラインに比べ30%以上改善し、直腸出血サブスコアが1ポイント以上改善またはスコアが1以下になった患者とした。再度、ozanimod群とプラセボ群にランダム割り付けを行い、52週間の維持療法を実施した。

 主要評価項目は臨床的寛解が見られた患者の割合とし、寛解導入期間の10週時点と維持療法の52週時点で評価した。臨床的寛解は、Mayoスコアの3項目、すなわち、直腸出血サブスコアが0ポイント、かつ排便頻度は1ポイント以下でベースラインより1ポイント以上低下し、さらに内視鏡所見のサブスコアも1ポイント以下した場合と定義した。副次評価項目として、臨床的な反応、内視鏡的改善、組織学的治癒などについて検討した。

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