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NEJM誌から
シタグリプチンは急性GVHD予防に役立つか
同種幹細胞移植から100日後までのGVHD発症率を調べたフェーズ2試験

 米国Indiana大学医学部のSherif S. Farag氏らは、白血病などの治療後に同種幹細胞移植を受ける患者に対して、シロリムスやタクロリムスと共にDPP-4阻害薬のシタグリプチンを投与するフェーズ2試験を行い、100日後までの急性移植片対宿主病(GVHD)の発症リスクを従来よりも低く抑えられそうだと報告した。結果はNEJM誌2021年1月7日号に掲載された。

 同種幹細胞移植を受ける患者には、標準的なGVHD予防策として、カルシニューリン阻害薬とメトトレキサートまたはシロリムスが適用される。しかし、HLA適合同種ドナーからの移植であっても、34~51%の患者が、100日後までにグレードII~IVの急性GVHDを経験している。

 ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はT細胞に発現している膜貫通型受容体で、白血球表面抗原CD26と同じものだ。可溶性で酵素活性を持つタイプも血漿中に存在している。DPP-4は幅広い生物学的プロセスに関与しており、T細胞の活性化においては共刺激分子として機能する。マウスモデルでは、CD26の発現を低下させると、移植片対宿主病(GVHD)は予防される一方で、移植片対腫瘍効果は維持されることが報告されている。

 DPP-4に対する選択的阻害薬のシタグリプチンは、2型糖尿病治療薬として承認されている。この薬を用いたDPP-4の阻害が、化学療法後に同種末梢血幹細胞移植を受けた患者の急性GVHDを予防できるかどうかを評価するために、著者らはフェーズ2試験を行うことにした。急性GVHD予防に通常用いられるタクロリムス、シロリムスにシタグリプチンを追加することによって、100日目までのグレードII~IVの急性GVHD の発生率を15%未満に低下させられるかどうかを検討することが目的だ。

 組み入れ対象者は、年齢が18~60歳で、次の疾患がある患者。急性骨髄性白血病、急性リンパ芽急性白血病、改訂国際予後スコアリングシステム(Revised international prognostic scoring system)のスコアが3を超える骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病(3剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬が奏効しなかった、もしくは初回の慢性期を過ぎた患者)。全身状態は、Karnofskyパフォーマンスステータススコアが70%以上、左室駆出率が45%以上、肺の一酸化炭素拡散能力が50%以上、クレアチニンクリアランスが60mL/分以上、ASTとALTが正常上限の2倍を超えない、などの条件を満たした患者を登録した。過去に移植を受けたことがある患者や、インスリン関連の糖尿病治療薬を使用している患者は除外した。

 患者は、放射線療法や、シクロホスファミド、チオテパによる化学療法など、骨髄破壊的前処置を受けた後に、HLAが適合する血縁または非血縁ドナーから提供された末梢血幹細胞を移植された。急性GVHD予防策として、移植3日前よりタクロリムス(0.02mg/kg/日)およびシロリムス(4mg/日)の投与を開始した。シタグリプチンは、移植の前日から移植後14日目まで、1回600mgの経口投与を12時間ごとに1回行った。100日後までGVHDが見られなかった患者については、100日後以降、タクロリムスとシロリムスを減量し、おおよそ180日ごろに投与を中止した。

 主要評価項目は、移植後100日までのグレードII~IVの急性GVHDとした。副次評価項目は慢性GVHD、全生存、再発、再発を伴わない死亡などとした。Simonの2段階ミニマックスデザインを用いて、患者がGVHDとは無関係の原因で死亡した場合、評価に必要な患者数を補充できることとした。

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