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NEJM誌から
ALSの進行を遅くする新薬候補の臨床試験
24週間のフェーズ2試験でALSFRS-Rスコアの低下を遅くする

 米国Massachusetts総合病院のSabrina Paganoni氏らは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者にフェニル酪酸ナトリウムとタウルウルソジオールの合剤を投与するフェーズ2試験を行い、合剤はプラセボに比べ筋萎縮性側索硬化症機能評価スケール改訂版(ALSFRS-R)の低下速度を遅くしていたと報告した。結果はNEJM誌電子版に2020年9月3日に掲載された。

 ALSは運動神経系が障害される進行性の疾患で、発症からの生存期間の中央値は2~3年といわれている。治療薬として承認を得ているリルゾールとエダラボンは、ALSの臨床経過を修飾することが示されている。フェニル酪酸ナトリウムとタウルウルソジオールは米国Amylyx Pharmaceuticals社によって開発された。小胞体ストレスとミトコンドリア機能不全の抑制を通じて、神経細胞死を防ぐ効果が期待されている。神経変性疾患の動物モデルに投与した実験で効果が認められ、予備的な研究では、ALS患者に対するこれら2剤併用の安全性が示された。

 そこで著者らは、Northeast Amyotrophic Lateral Sclerosis Consortium(NEALS)に参加している米国の25施設でのフェーズ2試験を計画した。対象は2017年6月から2019年9月までにNEALSの施設でALSの診断が確定した、発症から18カ月以内の成人患者。slow vital capacityが、年齢・性別・身長から予測される肺活量の60%を超えていることとした。リルゾールを使用中の患者は組み入れから除外した。

 条件を満たした患者は、2対1の割合で合剤(フェニル酪酸ナトリウム3gとタウルウルソジオール1g)またはプラセボに割り付けた。割り付け薬は小袋入りのパウダーとして提供され、室温の水に溶かし、経口または栄養チューブ経由で服用してもらった。当初の3週間は1日1袋、それ以後は1日2袋(朝と夕方に1袋ずつ)を24週間服用してもらった。受診または電話によるチェックは3週間ごとに行い、28週後まで追跡を継続した。

 主要評価項目は、ベースラインから24週後までのALSFRS-Rスコア減少率とした。ALSFRS-Rスコアは、球機能、細かい運動機能、大きな運動機能、呼吸状態の4分野12項目について0点(完全な機能損失)から4点(機能障害なし)までで評価するため、スコア幅は0~48点で、高スコアほど機能良好を意味する。

 副次評価項目は、等尺性筋力、運動ニューロンの変性のバイオマーカーである血漿中リン酸化ニューロフィラメントHサブユニット(pNF-H)濃度、肺活量の低下率と、死亡、気管切開、永続的な人工換気導入、入院までの期間などに設定した。分析はmodified intention-to-treat法で行った。

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