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NEJM誌から
早産児へのニルセビマブ投与はRSV感染を抑制
シーズン前1回の筋注でRSV下気道感染症による受診と入院が減少

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、乳児の下気道感染症の原因として最も多く、健康な乳児の感染を予防する介入法が必要だ。AstraZeneca社のM. Pamela Griffin氏らは、世界23カ国の健康な早産児に対して、各国でRSVの流行期が始まる前に、抗RSVモノクローナル抗体製剤ニルセビマブまたはプラセボを1回筋注する臨床試験を行い、ニルセビマブ群は流行期間中のRSV関連の下気道感染症による受診と入院を減らすことができたと報告した。結果は、NEJM誌2020年7月30日号に掲載された。

 RSVワクチンの開発は過去50年超に渡って行われてきたが、安全で有効なワクチンは完成していない。RSVによる下気道感染症を起こすと重篤な後遺症が生じるリスクが高い小児には、5カ月間にわたって毎月1回、RSV特異的IgG抗体のパリビズマブを筋注する方法が用いられている。現時点では、合併症のないリスクが低い小児に対して、RSV感染症を予防する薬はない。

 ニルセビマブもRSVに対するモノクローナル抗体だが、パリビズマブよりも中和活性が高く、FCフラグメントに修飾を加え半減期を長くしたのが特徴だ。そのため通常は5カ月とされるRSVの流行期に1回の筋注で効果を維持することが期待されている。

 そこで著者らは、ニルセビマブの有効性と安全性を評価するための臨床試験を、北半球と南半球の23カ国の164施設で行った。対象は、在胎29週0日~34週6日で出生した早産児で、初めてRSV流行期を迎えることになる1歳までの乳児。EU内の参加者は生後8カ月までとした。急性疾患にかかっている場合、既にRSVに感染したことがある場合、パリビズマブを投与された場合などは組み入れから除外した。

 参加者は2対1の割合で、ニルセビマブ50mgまたはプラセボ(生理食塩水)に割り付け、各国でRSVの流行期に入る前に、割り付け薬を1回筋注した。割り付け時に層別化した項目は、北半球か南半球かと、年齢(生後3カ月以内、3~6カ月以内、6カ月超)だ。投与後は8日目、31日目、91日目、151日目、361日目に参加施設を受診してもらうようにした。試験参加施設以外の医療機関を受診した場合は、連絡するように保護者に依頼した。

 主要評価項目は、投与後150日間のRSV 関連下気道感染症による受診(外来と入院)に設定した。副次評価項目は、投与後150日間のRSV 関連下気道感染症による入院とした。試験に参加した小児が呼吸器症状で受診した場合は、下気道の標本を採取してもらい、中央検査室で検査を実施した。PCR検査でRSVが検出された場合は、シーケンシングを行い、RSVのサブタイプを決定した。

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