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NEJM誌から
牛乳と健康に関する研究のレビュー
個人の食生活の質に影響を受けるため一律の摂取量は推奨はできない

 米国Harvard T.H. Chan School of Public HealthのWalter C. Willett氏らは、乳製品の摂取がヒトの栄養と疾病予防に果たす役割について検討した数多くの研究をレビューし、メリットとデメリットを検討した結果をNEJM誌電子版に2020年2月13日に報告した。

骨の健康と骨折
 世界各国の人々の、総摂取熱量に占めるミルク由来の熱量の割合を横軸に、10万人・年当たりの股関節骨折の発生率を縦軸にとると、緩やかな右肩上がりの直線が描ける。この逆説的なデータは、乳製品摂取量が多い国の方が、股関節骨折が多いことを示唆するが、ここには因果関係はなく、ビタミンDや人種といった交絡因子の関与がある可能性が高い。

 米国人を代表する男女約1万人を対象とする横断的研究は、カルシウムの摂取は股関節部の骨密度と関係しないことを示していた。また、前向き研究を対象とするメタアナリシスで、1日あたりのカルシウムの総摂取量が555mg未満から1100mg超までの人の、股関節部骨折リスクが検討されたが、有意差は見られなかった。別のメタアナリシスでも、1週間に1.5杯未満から30杯以上までのミルクの摂取、または乳製品の総摂取量と、股関節骨折リスクの間には、男女ともに有意な関係は見られなかった。

 一部に、正の相関を示した研究や負の相関を示した研究があるが、全体として、これまでに得られているエビデンスは、乳製品の摂取が多いと股関節骨折リスクが低下するという利益の存在を支持していない。

体重と肥満
 多くの前向きコホート研究やランダム化比較試験のメタアナリシスで、ミルクまたは乳製品と体重の間に有意な関係は見られていない。また、全乳に比べ低脂肪乳の方が体重のコントロールに適していることを示すエビデンスもない。一方で、ヨーグルトのような発酵乳製品は、西洋式の食事において最も多く摂取されているプロバイオティクスであり、腸内細菌叢への影響を介して肥満を防ぎ、他の好ましい健康利益をもたらす可能性がある。しかし、ヨーグルトを常食している人は一般に、ライフスタイルの他の要因も健康的な生活を送っているため、交絡因子の影響が排除できていない。

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