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NEJM誌から
プラセボ効果とノセボ効果のレビュー
日常診療でも臨床試験でも強力な効果を発揮することがある

 プラセボ効果とノセボ効果は、日常診療でも、臨床試験でも、インフォームド・コンセントの過程でも、公衆衛生キャンペーンでも、幅広い場面で起こり得る。米国Maryland大学のLuana Colloca氏らは、これらの効果と関係する患者特性や、作用がアウトカムに及ぼす影響などを調べた論文をレビューし、プラセボ効果を高めノセボ効果を抑制する戦略が有用であると報告した。論文はNEJM誌2020年2月6日号に掲載された。

 プラセボ効果は効果を期待する患者の気持ち、ノセボ効果は副作用を懸念する患者の気持ちに由来する。実験的な設定で見られるプラセボ効果とノセボ効果は幅広い。実臨床では、患者によって異なる治療に対する反応や、個々の患者が経験する症状の違いに、プラセボ効果とノセボ効果が関与すると考えられているが、その大きさや影響を判定することは難しい。

 例えば、疼痛に対する治療薬や精神障害に対する治療薬に関する二重盲検の臨床試験の多くで、プラセボ群の反応は介入群と同様になること、プラセボに割り付けられた患者のうち、成人では最大19%、高齢者では26%が副作用も経験することが示されている。さらに、臨床試験のプラセボ群の患者の4分の1が、副作用によって治療中止を経験するが、これは、治療中止や介入群の治療遵守の低下にノセボ効果が関係することを示唆している。
 プラセボ効果は、内因性オピオイドや内因性カンナビノイド、ドパミン、オキシトシン、バソプレシンなどの放出を引き起こしていることが示されている。これらはそれぞれ、標的経路(疼痛や免疫系など)や疾患(関節炎やパーキンソン病など)に特異的に認められることが明らかになっている。たとえば、ドパミン放出が、パーキンソン病患者にプラセボ効果をもたらすことが知られている。

 一方で、ノセボ効果である、言語指示によって実験的に引き起こした疼痛の悪化は、神経ペプチドであるコレシストキニンによって仲介され、受容体拮抗薬であるプログルミドによって抑制される。言語によって誘導される痛覚過敏は、視床下部-下垂体-副腎軸の活性上昇に関係し、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるジアゼパムにより軽快化する。これは、不安がこうしたノセボ効果に果たす役割を示唆する。一方で、プログルミドは、痛覚過敏はブロックするものの、視床下部-下垂体-副腎軸の活性には影響しないことから、このノセボ効果にはコレシストキニン系が関与すると考えられる。

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