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NEJM誌から
急性腎障害の発症にかかわるマーカー候補
可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体が使えるかも

 可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ受容体(suPAR)は、急性腎障害(AKI)に対する治療薬開発において有望な標的かもしれない。米国Michigan大学のSalim S. Haye氏らが、冠動脈造影を受ける患者、心臓手術を受ける患者、ICUに入院する患者の血液を採取しsuPARを測定して、その後のAKI発症との関係を調べたところ、suPAR高値の患者ではAKI発症リスクが高かった。また、動物実験とin vitro実験を行って、モノクローナル抗体を用いてsuPARの作用を抑えるとAKI関連の変化が抑制されたと報告した。結果は、NEJM誌2020年1月31日号に掲載された。

 AKIの発症率は成人入院患者の2~5%とされており、AKIリスクが高いのは重篤な患者と心血管疾患の患者であることが知られている。AKIの原因や背景に関する理解は深まっているものの、予防と治療の選択肢はほとんどないため、新たな創薬標的が求められている。

 suPARはシグナル伝達に関わる糖蛋白質で、通常は、内皮細胞、足細胞を含む様々な細胞にわずかに発現されているが、単球やリンパ球などの免疫細胞が活性化されると発現は上昇する。また、suPARの血漿濃度は腎機能の低下を強力に予測し、suPAR高値の持続は、直接腎臓に悪影響を及ぼして、蛋白尿の発現に至ることも示唆されている。

 著者らは、suPARが高値の患者が冠動脈造影を受けるとAKIを起こしやすいのかどうかを検討した。さらに、造影剤を使用しない状況でもsuPAR値がAKIリスクと関係するかどうかを検討するために、心臓手術を受ける患者と、ICUに入院する重篤な患者を対象とする分析も行った。加えて、動物モデルを用いた実験とin vitro実験を行い、suPARの作用機序を調べ、suPARを薬理的に阻害することによってAKIによる腎機能低下を防ぐ可能性があるかに着目することにした。

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