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NEJM誌から
新規配合剤、C型肝炎の全ての遺伝子型に有効
ソホスブビルとベルパタスビルの配合剤がジェノタイプ1~6のC型肝炎に著効、ASTRAL試験より

 C型肝炎に対する経口治療薬が相次いで発売され、いずれも高い持続的ウイルス陰性化(SVR)率が期待できるが、治療歴の有無やC型肝炎ウイルスのジェノタイプ(遺伝子型)とサブタイプ、肝線維化の程度などを考慮した薬剤選択が必要だ。C型肝炎治療をよりシンプルにするためには、患者特性を問わずに使用できる薬剤の登場が待たれる。NEJM誌電子版には2015年11月16日と17日の2日間にわたり、C型肝炎治療用の新規配合剤に関する3報の論文が掲載。この新規配合剤が、ジェノタイプによらず著効することが示された。

 今回、論文発表されたのは、ソホスブビル(商品名ソバルディ)とベルパタスビル(velpatasvir、開発コードGS-5816)の配合剤を用いた一連のフェーズ3試験「ASTRAL」。ASTRAL-1からASTRAL-4まで、4つの試験結果が3報の論文にまとめられている。

 ソホスブビルとベルパタスビルはどちらも、直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)と呼ばれる抗ウイルス薬。ソホスブビルはHCVの複製に関わる非構造タンパク質5B (NS5B)RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、ベルパタスビルはHCVの複製およびHCV粒子の形成に必要な非構造タンパク質5A(NS5A)を阻害する。C型肝炎ウイルスのジェノタイプは1~6の6種類に分類されるが、ベルパタスビルは全てのジェノタイプのNS5Aを幅広く阻害することが知られている。

ASTRAL-1試験:ジェノタイプ1、2、4、5、6
 カナダToronto Western Hospital Liver CentreのJordan J. Feld氏らが実施したのは、ジェノタイプ3を除くC型肝炎ウイルス感染者を対象としたASTRAL-1試験。治療歴や代償性肝硬変の有無を問わず、5対1の割合で試験薬またはプラセボに割り付けて、1日1回12週間服用してもらった。なお、ジェノタイプ5は患者数が少なかったため、全員を試験薬群に割り付けた。主要評価項目は治療終了後12週の時点のSVR達成率に設定した。

 その結果、試験薬が投与された624人のSVR達成率は99%となり、プラセボ投与群(116人)の0%を大きく上回ることが判明。ジェノタイプ別のSVR達成率は、ジェノタイプ1a(試験薬群の34%)が98%、ジェノタイプ1b(同19%)が99%、ジェノタイプ2(同17%)が100%、ジェノタイプ4(同19%)が100%、ジェノタイプ5(同6%)が97%、ジェノタイプ6(同7%)が100%だった。これらの患者の19%が肝硬変と診断されており、32%には前治療歴があった。

 なお、ジェノタイプ1感染者で試験薬の投与を受けた2人は、ウイルス学的再発を経験した。重篤な有害事象は試験薬群の15人(2%)に発生、プラセボ群には報告がなかった。

ASTRAL-2、同-3試験:ジェノタイプ2、3
 英Queen Mary University of LondonのGraham R. Foster氏らが実施したのは、ジェノタイプ2の患者を対象としたASTRAL-2試験と、ジェノタイプ3の患者が対象のASTRAL-3試験。この2件のオープンラベル試験では、患者を試験薬と標準治療であるソホスビビルとリバビリン(コペガス、レベトール他)の併用療法に1対1で割り付け、12週間服用してもらった。主要評価項目は、治療終了後12週の時点のSVR達成率に設定した。

 その結果、ジェノタイプ2、ジェノタイプ3のいずれの感染者でも、SVR達成率は試験薬の方がソホスビビルとリバビリンの併用を有意に上回ることが判明。ジェノタイプ2のSVR達成率は、試験薬群が99%、ソホスビビル・リバビリン併用群が94%となった(P=0.02)。ジェノタイプ3ではそれぞれ、95%と80%だった(P<0.002)。最も多く見られた有害事象は、疲労感、頭痛、悪心、不眠だった。

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