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NEJM誌から
ワルファリン用量調整にSNPs情報は不要か!?
投与開始時のINR管理に大きな改善なし、2つのRCTの結果

 ワルファリンを開始する患者において、遺伝子多型SNPs)の情報を利用することの利益は4週間の解析では認められず、12週間の解析でも少ないことが、2つのランダム化比較試験(RCT)の結果として示された。米Pennsylvania大Center for Therapeutic Effectiveness ResearchのStephen E. Kimmel氏らと、英Liverpool大のMunir Pirmohamed氏らがそれぞれ、NEJM誌電子版に2013年11月19日に報告した。

 ワルファリン療法では、INR(国際標準化比)を治療域に維持することが重要だが、これは容易ではない。近年、ワルファリンの薬効への遺伝子多型の影響が明らかになった。薬物代謝酵素の1つであるチトクロームPCYP)2C9の遺伝子多型(CYP2C9*2とCYP2C9*3)はワルファリン代謝を低下させ、ビタミンKエポキシド還元酵素複合体サブユニット1VKORC1)の遺伝子多型はワルファリンに対する感受性を変化させる。

 薬理遺伝学情報に基づくワルファリン用量調整法の臨床的な有用性の評価は、これまで小規模な臨床試験と観察研究で検証されてきた。より質の高い研究を行ってその利益を明らかにするため、Kimmel氏らは、二重盲検の多施設試験COAGを実施した。

 米国内18施設で09年9月から13年4月に、ワルファリン使用を開始する成人患者1015人を登録し、INRの目標域を2~3に設定。1対1で当初5日間の用量を臨床アルゴリズムと遺伝子多型情報に基づいて決定する介入群(514人)、もしくは臨床アルゴリズムのみを用いて決定する対照群(501人)のいずれかに割り付けた。

 いずれも3日目までは同じ臨床アルゴリズムを使用し、4日目または5日目、もしくは両日に修正した。5日目以降は両群に通常の用量調整を行った。臨床アルゴリズムは、年齢、人種、喫煙習慣、体表面積、アミオダロンの使用、目標とするINR、ワルファリンの適応が深部静脈血栓塞栓症または肺塞栓という要因を含み、薬理遺伝学情報を加える場合には、CYP2C9*2、CYP2C9*3とVKORC1の多型を要因として追加した。

 CYP2C9とVKORC1の遺伝子型は割り付け後に各施設で調べた。ワルファリンの初回投与までに遺伝子型が判明した患者は45%、2回目の投与までが94%で、アルゴリズム修正を行う前には99%の患者の遺伝子型が明らかになった。

 主要転帰評価指標は、治療開始から4~5日時点から28日までのINRが治療域(2~3)内となった時間の割合に設定。その割合は介入群が45.2%、対照群が45.4%で、対照群に対する介入群の調整平均差は-0.2パーセンテージポイント(95%信頼区間-3.4から3.1、P=0.91)と有意差を示さなかった。2通りの方法で予測したワルファリンの開始用量に1mg/日以上の差を認めた患者のみを対象として比較しても、両群間に有意差は認めなかった。

 INRが4以上となった時間や、大出血、血栓塞栓イベントを合わせた複合イベントの発生率にも差はなかった。

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