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NEJM誌から
大腸内視鏡検査後は大腸癌リスクが長期間低下
検査なし群と比べた罹患リスクは15年後まで有意に低い

 米国の医療従事者を対象とする前向きコホート研究のデータを利用した22年間の追跡調査で、大腸内視鏡検査S状結腸鏡検査大腸癌罹患と大腸癌死亡のリスク低減に関係すること、大腸内視鏡検査を受けた人は、遠位大腸癌のみならず近位大腸癌のリスクも低下していることが明らかになった。米Harvard大学医学部の西原玲子氏らが、NEJM誌2013年9月19日号に報告した。

 下部消化管内視鏡検査の利益、特に近位大腸癌リスク低減効果については、これまで明確なエビデンスは示されておらず、最善のスクリーニング実施間隔も明らかになっていない。また、スクリーニングを受けて間もない時期に大腸癌と診断される人がいる理由が、検査時の見落としによるのか、急速に進行する腫瘍が発生したからなのかも分かっていない。

 様々な未解決の問題に取り組むべく、著者らはNurses’ Health Study(12万1700人の女性を登録)とHealth Professionals Follow-up Study(5万1529人の男性を登録)の参加者を対象に、下部消化管内視鏡検査と大腸癌罹患、大腸癌死亡の関係を調べる前向き解析を実施した。

 1988~2008年まで、2年ごとに質問票を用いて大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査を受けたかどうかを調査し、検査を受けた患者についてはその理由もたずねた。大腸癌罹患との関係を調べる際は、診断目的の検査を極力除外するように情報を収集し、大腸癌死亡との関係についてはスクリーニング目的の検査のみを対象に検討した。大腸癌罹患の有無は10年6月まで、大腸癌死亡の有無は12年6月まで追跡した。

 さまざまな交絡因子候補(年齢、BMI、喫煙歴、大腸癌家族歴、アスピリン常用、身体活動量、赤身肉摂取、飲酒習慣、葉酸摂取量、カルシウム摂取量、マルチビタミン使用、NSAIDs使用、コレステロール降下薬使用、閉経後のホルモン療法など)で調整し、検査を受けた人と受けなかった人を比較して大腸癌罹患と大腸癌死亡のハザード比を求めた。

 8万8902人(男性は3万1736人、女性が5万7166人)を22年間(173万8396人-年)追跡した。男性1万4287人と女性3万1423人は、大腸内視鏡またはS状結腸鏡検査を受けていなかった。検査を受け、ポリープ切除術も受けていた患者は男性の1259人と女性の1481人で、S状結腸鏡検査で陰性と判定された男性は8091人、女性は1万6748人、大腸内視鏡検査で陰性と判定された男性は3578人、女性は3957人だった。

 1815人(男性714人、女性1101人)が大腸癌に罹患していた。このうち検査なし群の罹患は1164人、ポリープ切除術を受けた患者では82人、S状結腸鏡検査で陰性判定された患者では348人、大腸内視鏡検査で陰性判定された患者では221人だった。検査なし群と比較した検査あり群の大腸癌の多変量調整ハザード比は、ポリープ切除術後で0.57(95%信頼区間0.45-0.72)、S状結腸鏡検査で陰性判定後で0.60(0.53-0.68)、大腸内視鏡検査で陰性判定後では0.44(0.38-0.52)だった。これらの関係は男性、女性のいずれにも見られた。

 遠位大腸癌の罹患リスクはどのグループでも有意に低下していた。検査なし群に比べ、ポリープ切除術を受けた患者のハザード比は0.40(0.27-0.59)、S状結腸鏡検査で陰性判定された患者では0.44(0.36-0.53)、大腸内視鏡検査で陰性判定された患者では0.24(0.18-0.32)だった。

 近位大腸癌罹患リスクの有意な低下が見られたのは、大腸内視鏡検査で陰性判定された患者のみだった。ポリープ切除術を受けた患者で0.83(0.59-1.18)、S状結腸鏡検査で陰性判定された患者で0.92(0.77-1.11)、大腸内視鏡検査で陰性判定された患者では0.73(0.57-0.92)だった。

 検査目的をスクリーニングに限定して同様に分析しても、結果に影響は見られなかった。

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