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NEJM誌から
MERS-CoVの院内感染リスクが高いのは透析部門
サウジアラビアの医療機関で発生した集団感染の分析結果

 サウジアラビア東部の医療機関で発生した新型コロナウイルスMERS-CoV)の集団感染の後ろ向き研究で、ヒト-ヒト感染は外来透析部門で発生しやすいことなどが明らかになった。サウジアラビア保健省Global Center for Mass Gatherings MedicineのAbdullah Assiri氏らが、NEJM誌電子版に2013年6月19日に報告した。

 集団感染が見られたのは4つの医療機関。病院Aはサウジアラビア東部の都市Al-Hufufにある150床の総合病院で、透析部門は16床で1日2回転しており、ベッドの間隔は1.3~1.5mだった。集中治療部門は2室に分かれており、それぞれ6床のベッドがあった。病院BおよびCはAl-Hufufにある総合病院、病院DはAl-Hufufから160km離れた場所にある紹介病院だ。

 発症者の医療記録を調べて臨床情報と人口統計学的情報を得て、患者と接触があった家族や医療従事者を追跡して発症の有無を調べた。

 曝露の可能性は「症状のある確定例または可能性例と面と向かって対応した」「症候性の患者を担当する医療従事者によるケアを受けた」「症候性の患者と病院の備品を共有した」などの場合とした。

 2013年4月1日~5月23日に4つの医療機関で11人の可能性例と23人のMERS-CoV確定例が報告された。確定例は6月12日までに15人(65%)が死亡し、6人(26%)は回復、2人(9%)は引き続き入院していた。

 病院Aでは以下のように患者が発生した。

 4月5日、患者Aがめまいと発汗を訴えて入院。入院4日目に発熱と進行性の肺浸潤が始まった。この患者はMERS-CoVの検査を受けなかったが、息子(患者O)が確定例になった。

 患者Bは4月4日、脳卒中の診断で集中治療部門に入院した。入院6日目に発熱し、肺炎を発症した時点でMERS-CoV確定例となった。

 患者Cは血液透析を長期にわたって受けており、4月6日、患者Aの隣の病室に入院した。患者Aが発熱した4月8日時点でも患者Cは入院しており、3日後に患者Cも発熱して可能性例に分類された。症状が表れてからも2回(4月11日と13日)、同病院の外来透析部門で透析を受けていた。

 この透析部門で4月14~30日に透析を受けた患者のうち、9人が確定例だった。6人(患者D、E、F、G、H、I)は患者Cと同じ時間に透析を受けており、このうち3人は患者Cの隣のベッドで透析を受けていた。患者KとPは症状発現後の患者Fと同じ時間に透析を受けており、患者Lは症状発現後の患者Eの隣のベッドで透析を受けていた。なお、4月15~30日に透析を受けた患者から8人の可能性例が出た。

 透析患者で確定例となった9人中8人は、透析室で感染予防策が実施された4月21日より前、またはそれから24時間以内に発症していた。予防措置が取られてから8日間に6人が新たに発症、うち1人が確定例(患者P)となり、残りの5人は可能性例に分類された。5月1日以降、透析患者で確定例の発生はなかった。

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