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NEJM誌から
オフポンプCABGの30日後と1年後の転帰はオンポンプと差なし
2件のRCTの結果

 CABG冠動脈バイパス術)から30日後と1年後の死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析が必要となる腎障害などの発生率をオフポンプ手術人工心肺を用いない心拍動下手術)とオンポンプ手術(人工心肺を用いた手術)で比較した大規模なランダム化比較試験(RCT)2件の結果が、NEJM誌電子版に2013年3月11日に報告された。いずれのRCTも一定の経験を積んだ術者が手術を担当し、一方は約80施設の病院でハイリスク者も含む患者登録を行い、もう一方は高齢者に限定して登録した。いずれの試験の結果も、短期的にも長期的にも、これら2通りの手術が適用された患者の主要転帰に差がないことを示した。

 オフポンプCABGは、周術期の合併症を減らすために開発されたが、実際にオンポンプCABGに優る短期的、長期的な利益を患者にもたらすかどうかは明らかでなかった。

脳血管疾患や腎不全合併患者でも有意差は見られず
 CORONARY InvestigatorsのメンバーでカナダMcMaster大学に所属するAndre Lamy氏らは、オフポンプCABGとオンポンプCABGの転帰を比較するPROBE(Prospective,Randomized,Open-label Blinded-Endpoint)方式の多施設試験CORONARYを進めており、30日時点の結果を先に報告していた。今回は、1年後の主要転帰とQOLや認知機能を比較した結果を報告している。

 著者らは、19カ国の79施設で、CABGが予定されている冠動脈疾患患者の中から、以下の条件を満たす患者を登録した。70歳以上なら末梢動脈疾患/脳血管疾患/頸動脈に70%以上の狭窄/腎不全のうちの1つ以上が該当する患者、60~69歳は糖尿病(経口血糖降下薬またはインスリンを必要とする)/急性冠症候群後に緊急血行再建術が必要/左室駆出分画が35%以下/割り付け前1年以内の喫煙のうちの1つ以上が該当する患者、55~59歳の場合は60~69歳の組み入れ条件となっている項目の2つ以上が該当する患者を抽出。計4752人を登録し、オンポンプCABG(2377人)またはオフポンプCABG(2375人)にランダムに割り付けた。EQ-5Dを用いたQOLの評価と、Montreal Cognitive Assessment、Digit Symbol Substitution Test、Trail Making Test Part Bを用いた認知機能の評価は、退院時、30日後、1年後の時点で実施した。主要転帰(死亡、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、透析が必要な腎不全の新規発症を合わせた複合イベント)は1年後の時点で評価し、intention-to-treat解析した。

 先に報告された30日時点の比較では、主要な複合イベントの発生率に差はなく、血行再建術再施行はオフポンプ群で有意に多く、出血、急性腎障害、呼吸器合併症はオフポンプ群で少ないことが示されていた、

 1年後の時点でも、主要な複合イベントの発生率に有意差はなかった。主要複合イベントの発生率は、オフポンプ群が12.1%、オンポンプ群が13.3%で、オンポンプ群と比較したオフポンプ群のハザード比は0.91(95%信頼区間0.77-1.07、P=0.24)だった。1年時の冠動脈血行再建術再施行は、オフポンプ群1.4%、オンポンプ群0.8%で、ハザード比は1.66(0.95-2.89、P=0.07)と有意差はなかった。1年時のQOLと認知機能にも有意差は見られなかった。1年死亡リスクはオフポンプ群が5.1%、オンポンプ群が5.0%だった。

 なお、術後31日から1年までの複合イベントの発生率にも差はなかった。オフポンプ群が2.6%、オンポンプ群が3.2%で、ハザード比は0.79(0.55-1.13、P=0.19)。

 CABGから1年後の時点のオフポンプ群とオンポンプ群の複合イベント、血行再建術再施行、QOL、認知機能に有意差は見られなかった。著者らは今後、CABGから5年の時点で再度評価を行う予定だ。

75歳以上では30日後の血行再建術再施行のみオンポンプ群で低い
 独Herz- und Gefass-Klinik Bad NeustadtのAnno Diegeler氏らは、併存疾患保有率が高い高齢者ならオフポンプ術の利益が明瞭になると考え、75歳以上を対象にオンポンプCABGとオフポンプCABGの利益を比較するランダム化試験であるGOPCABE(German Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting in Elderly Patients)を行った。

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