日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌より
脳梗塞への血管内治療、tPA静注と転帰に差なし
2つの独立したRCTで確認、ただし新規血管内治療デバイスへの期待残る

 急性虚血性脳卒中患者に対する血管内治療は、標準療法である組織プラスミノーゲン活性化因子tPA)静注と同等の効果しかない、あるいはtPAと併用しても転帰は向上しないとする2件のランダム化比較試験(RCT)の結果が、2013年2月6日と7日のNEJM誌電子版に報告された。

 虚血性脳卒中患者に対するtPA静注の適応は発症後4.5時間と短い。また、運よくtPA静注を受けても半数を超える患者が完全には回復せず後遺症を残したり、死亡する。血管内治療は、tPA静注に比べ脳動脈の再開通率が高く、これまでに、再開通率はtPA静注で46%、血管内治療で80%超という報告がある。ただし、再開通率の高さがそのまま好ましい臨床転帰につながるかは不明で、これら2種類の治療の臨床効果を直接比較した研究はこれまでなかった。

tPAと血管内治療の比較で90日後の転帰に有意差なし
 イタリアCarlo Poma病院のAlfonso Ciccone氏らは、tPA静注と血管内治療の有効性と安全性を直接比較するRCTを実施した。08年2月~12年4月まで、急性虚血性脳卒中発症から4.5時間以内の患者362人を対象に、血管内治療群(担当医の判断に基づき〔1〕マイクロカテーテルを用いて血栓近傍でtPAを動脈内投与〔2〕血管内に器具を挿入して機械的に血栓を除去、のいずれかまたは両方を実施、181人)と、tPAを静注する群(tPA群、181人)に無作為に割り付け、可能な限り早期に治療を開始した。

 主要転帰評価指標は、90日時点の障害なしの生存(修正ランキンスケール;mRSスコアが0もしくは1)に設定し、intention-to-treat分析した。 

 発症から治療開始までの経過時間の中央値は、血管内治療群3.75時間、tPA群2.75時間だった(P<0.001)。割り付けられた治療を完了したのは、血管内治療群165人(うち機械的な処置を受けたのは56人)、tPA群178人だった。

 90日時点の障害なし生存者は、血管内治療群55人(30.4%)、tPA群63人(34.8%)で、絶対差は-4.4ポイント(95%信頼区間 -14.1から5.2ポイント)だった。年齢、性別、脳卒中の重症度、心房細動の有無で調整したオッズ比は0.71(0.44-1.14、P=0.16)で有意差を示さなかった。

 治療から7日以内の致死的、または非致死的な症候性の頭蓋内出血の発生率は両群ともに6%。他の重症有害事象の発生率と死亡率にも有意差はなかった。

tPAに血管内治療を併用しても転帰は向上せず
 一方、米Cincinnati大のJoseph P. Broderick氏らは、tPA静注に血管内治療を追加した場合に、tPA静注のみに比べて転帰が向上するかどうかを多施設におけるRCTで比較した。

 中等症から重症の急性虚血性脳卒中患者が、tPA静注後に血管内治療を受けることが増えている。ただし、血管内治療が可能な施設は限られており、治療開始は遅れがちであることから、血管内治療が可能な施設への搬送中にtPAを静注すれば、より確実な血行再建が可能になると期待される。しかし、血管内治療を行わなかった場合に比べ転帰が向上するかどうかは明らかではなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ