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NEJM誌から
切迫性尿失禁への抗コリン薬とボツリヌス毒素の有効性は同程度
失禁エピソードはともに減少、有害事象のプロファイルに差あり

 切迫性尿失禁の女性患者を対象に、抗コリン薬の経口投与とボツリヌス毒素(onabotulinumtoxinA)膀胱壁内注入の有効性と安全性を直接比較した二重盲検無作為化試験で、これら2つの治療法の開始から6カ月間の有効性に差はないことが分かった。ただし有害事象プロファイルには差が見られた。米Duke大学のAnthony G. Visco氏らが、2012年10月4日付のNEJM誌電子版に報告した。

 切迫性尿失禁は女性に多い病気で、米国では高齢女性の19%がこの病気に悩んでいるといわれている。第1選択は抗コリン薬だが、これに反応しない患者にはボツリヌス毒素の膀胱壁内注入が有効だ。しかし、ボツリヌス毒素を適用した場合、排尿不全が発生し、膀胱カテーテルの一時的な使用が必要になる可能性がある。

 これまで、抗コリン薬とボツリヌス毒素注入の影響を直接比較した研究はなかった。そこで著者らは、抗コリン薬の連日服用とボツリヌス毒素の膀胱壁内単回注入の6カ月間の有効性と安全性を比較するABC(Anticholinergic versus Botulinum Toxin Comparison)試験を行った。

 米国内の10施設で、10年2月2日から12年5月2日まで試験を実施。中等症から重症の特発性切迫性尿失禁で、失禁マンスリーダイアリーに記録された切迫性尿失禁エピソードが3日間に5回以上あり、ボツリヌス毒素注入歴がなく、抗コリン薬の処方歴が2回まで(ソリフェナシン、ダリフェナシン、塩化トロスピウム以外に限る)の女性患者を登録。排尿後の残尿量が150mL以上の患者などは除外した。抗コリン薬を使用していた患者については、3週間のウォッシュアウト期間を設けた。

 249人を登録し、抗コリン薬のソリフェナシン(5mgで開始し、必要に応じて10mgまで増量または徐放型トロスピウム60mgに切り替え)を毎日服用+生理食塩水の膀胱壁内注入を1回実施する群、または偽薬を毎日服用+ボツリヌス毒素(Allergan社のBotox)100Uの膀胱壁内注入を1回実施する群に無作為に割り付け、6カ月間追跡した。

 Patient Global Symptom Control(PGSC;尿失禁症状のコントロールを5段階で評価、スコアが高いほど管理良好)を用いて治療効果を評価し、ソリフェナシンの用量増やトロスピウムへの切り替えを行った。具体的には、2カ月時点、4カ月時点でもスコアが1~3の範囲にあった患者で忍容性が良好なら増量、または徐放型トロスピウムへの切り替えを実施。また、6カ月時にPGSGスコアが4~5で、割り付け薬以外の尿失禁治療薬を使用していなかった患者は、さらに6カ月追跡し、治療効果の持続期間を調べた。延長追跡は割り付けから12カ月後まで、またはPGSCスコアが3以下に低下するまで行った。

 主要評価指標は6カ月間における1日当たりの切迫性尿失禁エピソードの平均回数とし、3日間当たりの発生件数を記録したダイアリーを利用して両群のベースラインからの回数の変化を比較した。

 2次評価指標は、切迫性尿失禁の完全な消失、失禁エピソードが75%超減少、過活動膀胱質問票を用いるOABq-SF(QOLと重症度を別個に評価できる)や、他のQOL指標(Pelvic Floor Distress Inventory Short Form;PFDI-SF、Pelvic Floor Impact Questionnire Short Form;PFIQ-SF、Patient Global Impression of Improvement;PGI-Iなどを用いて評価)のスコア、膀胱カテーテル使用(排尿後の残尿量が300mL超、または、150mL超で患者が感じる困難の度合いが中等度から高度である場合に実施)、有害事象に設定した。

 249人のうち、抗コリン薬群に割り付けられ、実際に治療を受けた患者は126人で、平均年齢は56.7歳。ボツリヌス毒素に割り付けられ、実際に治療を受けた患者は121人で、平均年齢は59.3歳。ベースラインで、41%の患者は抗コリン薬使用歴がなかった。治療を受けた247人中、241人について主要評価指標に関するデータが得られた。割り付けられた治療を完了した患者は、両群ともに93%(抗コリン薬群の118人とボツリヌス毒素群の113人)だった。

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