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NEJM誌から
限局性前立腺癌患者の死亡リスク、全摘と観察で差なし
PSA検査で発見された患者を無作為割り付けして転帰を比較

 PSA検査で発見された限局性前立腺癌患者に、根治的手術を行った場合と経過観察を適用した場合の転帰を比較した無作為化試験PIVOTで、10年間の全死因死亡率と前立腺癌死亡率に両群の有意差はないことが明らかになった。米Minnesota大学医学部のTimothy J. Wilt氏らが、NEJM誌2012年7月19日号に報告した。

 著者らは、1994年11月から2002年1月まで、米国の退役軍人省の医療施設44カ所と米国癌研究所の医療施設8カ所で患者登録を実施した。組織学的に前立腺癌が確認され、根治的全摘術が適用可能と判断された、限局性の前立腺癌(ステージT1~T2NxM0)の患者のうち、PSA値50ng/mL未満、75歳以下で、骨転移が否定され、余命は10年以上と予測された731人(平均年齢67歳、PSAの中央値は7.8ng/mL、平均は10.1ng/mL)を選出。根治的前立腺全摘除術(364人)または観察(367人)のいずれかに無作為に割り付け、2010年1月まで追跡した。

 観察群の患者に症候性または転移性の進行が見られた場合には、姑息的治療または化学療法を提案した。

 各医療機関の報告をまとめると、登録患者の約50%がステージT1c(触知不能)、25%はグリーソンスコアが7以上だった。D’Amico分類では、40%が低リスク、34%は中リスク、21%は高リスクで、5%についてはリスク分類のデータが得られなかった。 

 主要転帰評価指標は全死因死亡率、2次評価指標は前立腺癌死亡率に設定、intention-to-treat分析した。

 追跡期間中に全摘群の311人が何らかの介入(放射線治療を含む)を受けた。実際に全摘除術を完了したのは281人だった。53人には観察が適用された。

 観察群のうち、実際に観察が継続されたのは292人だった。36人は全摘除術を、37人は放射線治療を受けた。

 追跡期間の中央値は10年だった。その間の全死因死亡は、全摘群364人中171人(47.0%)、観察群367人中183人(49.9%)で、全摘群の絶対リスク減少は2.9ポイント(95%信頼区間-4.1から10.3ポイント)、ハザード比は0.88(0.71から1.08、P=0.22)となり、有意差を示さなかった。

 生存期間の中央値は全摘群が13.0年(12.2-13.7年)、観察群は12.4年(11.4-13.1年)だった。

 前立腺癌死亡は、全摘群が21人(5.8%、治療関連死亡も含む)、観察群が31人(8.4%)で、全摘群の絶対リスク減少は2.6ポイント(-1.1から6.5ポイント)、ハザード比は0.63(0.36-1.09、P=0.09)になった。

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