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NEJM誌から
早期2型患者などへのインスリングラルギン、心血管イベントは標準治療と有意差なし
血糖管理は良好で癌の罹患率も差なし、ORIGIN試験の結果

 空腹時血糖異常、耐糖能異常、または早期の2型糖尿病で、心血管危険因子を保有する人々を登録し、基礎インスリンインスリングラルギン)またはガイドラインベースの標準治療に割り付けて6年超追跡した無作為試験ORIGINの結果が、NEJM誌電子版に2012年6月11日に掲載された。主要評価指標である心血管イベントの発生率は両群に有意差はなかった。グラルギン群では、血糖管理が良好な状態が続き、糖尿病前症の患者の糖尿病新規発症リスクは有意に低く、あらゆる癌の罹患と癌死亡のリスクに有意差は見られなかった。一方、低血糖イベントはグラルギン群で多かった。

 先に行われた大規模臨床試験(ACCORD試験)で、インスリンを含む血糖厳格管理は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者の心血管イベントを減らせず、死亡リスクを上昇させる可能性が示された。一方、新規診断2型糖尿病患者を対象に英国で行われたUKPDS試験の長期追跡結果は、インスリンを含む厳格な管理が当初から適用された患者群で、心筋梗塞と死亡のリスクが低下することを示した。

 そこで著者らは、心血管リスクが高い患者にも早い段階から十分な基礎インスリンを投与して血糖正常化を達成することで、心血管イベントを減らせるのではないか、また、糖尿病前症の患者では糖尿病の発症を遅らせることができるのではないかと考えた。

 ORIGIN試験は、2×2ファクトリアルデザインの無作為化試験で、40カ国で患者登録を実施した。50歳以上の、空腹時血糖異常、耐糖能異常、または早期の2型糖尿病のいずれかに該当し、心血管危険因子を保有する1万2537人(平均年齢63.5歳、35%が女性)を登録し、基礎インスリン(インスリングラルギン、空腹時血糖の目標値を95mg/dL以下として用量を調整、6264人)または標準治療(担当医がガイドラインに基づいて最善の治療を実施、6273人)と、n-3系脂肪酸もしくは偽薬に割り付けた。この論文では、インスリングラルギン群と標準治療群を比較している(n-3系脂肪酸と偽薬を比較した結果は、同号に同時掲載)。

 主要転帰評価指標は、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死亡を合わせた心血管複合イベント(1)と、これらに血行再建術施行または心不全による入院を加えた心血管複合イベント(2)とした。分析はintention-to-treatにより行った。

 中央値6.2年の追跡を行った。

 標準治療群では、試験終了時に11%がインスリンを使用していた。60%はメトホルミンを使用していたが、経口糖尿病治療薬使用なしの患者も19%いた。空腹時血糖の中央値はベースラインが124mg/dL、終了時は123mg/dLだった。

 一方、グラルギン群では、ベースラインの空腹時血糖の中央値は125mg/dL、1年時は93mg/dLで、それ以降も一貫して95mg/dL未満に維持されていた。

 治療開始から2年の時点で比較すると、空腹時血糖はグラルギン群が90mg/dL、標準治療群が119mg/dL、HbA1cはそれぞれ6.0%と6.3%で、いずれもグラルギン群の方が低かった。

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